五十肩とは?

五十肩

五十肩は、医学的には肩関節周囲炎といいます。

それまで何の異常もなかった肩が、ある日突然、例えば高いところの物を取ろうとしたり、無理な姿勢でひねったりした時に、激しい痛みを起こし、それとともに動かせなくなってしまう、肩関節の病気です。

痛みは、肩を動かした時はもちろん、安静にしていても激しく感じることがあり、夜眠れない人もいるくらいです。

一般には、肩の後ろ側が、ズキズキと痛みます。

また、その痛みのため、肩を動かせる範囲が極端にせばまってしまうのも、五十肩の特徴です。

下におろした腕が上がらなくなったり、手を後ろに回すこともできなくなります。

さらに、痛いからといってそのまま放置すると、肩が動かないままの状態になり、日常生活に大きな支障をきたすことになるのです。

五十肩の原因

肩関節の周辺組織

五十肩は、主に老化や肩の使いすぎによって、肩関節の周辺組織に炎症が起こり、それが原因で発症すると考えられています。

特に発症しやすいのは、腱板と関節包、滑液包です。

肩関節は、肩甲骨や上腕骨などの骨と、筋肉や靭帯などで構成されています。

これらの骨や筋肉を結び付けているのが腱板という腱の集まりで、腕を上げ下げするたびに骨の間に挟まれ、大きな負担がかかる部位です。

健康な腱板は、弾力性があり、腕を動かした時に骨に挟まれても傷つくことはありません。

しかし、加齢やスポーツのしすぎなどで、肩の組織が硬くなっていたりすると、腱板は摩擦を受け傷つきやすくなります。

そこへ、冷えや肩の酷使、荷物の上げ下げなどの普段行なわない動作で、腱板が傷つくと、やがて肩関節の周りに炎症が起きます。

さらに炎症は、肩関節をすっぽり包んでいる関節包や滑液包へと広がります。

これらは、肩関節をスムーズに動かす潤滑油の役目をしたり、衝撃を和らげるクッションの働きをしているため、炎症が及ぶと肩が動かしづらくなる(運動障害)のです。

夏に起こりやすい五十肩

冷房による肩の冷え

五十肩の発症には、肩の冷えも深く関係しています。

夏に発症する人が多いのは、実は冷房や扇風機による冷えが、大きな要因となっているからです。

夏は薄着になるため、エアコンの風が直接あたるなどして、肩を冷やしがちです。

冷房が効いている場所で、袖のない服を着ていると、体感的には寒く感じなくても肩が冷えてしまいます。

また、扇風機も意外に肩を冷やします。

夜間、扇風機をつけたまま眠ってしまい、扇風機の風が肩に長時間あたって冷えてしまうことがよくあります。

その冷えによって、肩関節周辺の血管や筋肉が収縮し、血流が悪くなって、肩のスムーズな動きを妨げてしまいます。

その状態で、無理に肩を動かしたり、普段余り行なわない動作をすると、肩に炎症が起こりやすく、五十肩を発症することになるのです。

治療中の方はもちろん、予防や再発防止にためには、次にような工夫で肩の冷えを防ぐことが大切です。

肩を冷えを防ぐ
  • カーディガンやストールを羽織って、冷風を直接肩にあてない
  • 入浴時は湯船につかるか、シャワーをあてるなどして、肩を温める
  • 就寝中の冷房は、タイマー機能を使い、冷えすぎを防ぐ

また、日常生活で1日に腕を上げる回数を調べたところ、ある主婦は5回、パソコン作業が多いビジネスマンではわずかに2回でした。

現代人は生活様式が便利になり、腕を真上に上げたり、腕を後ろに回すなど、肩を大きく動かすような動作をすることが少なくなりました。肩の運動不足です。

普段、肩をあまり使わないでいると、肩関節が硬くなり、肩の機能はどんどん低下し、この状態で、急に無理な動作をすると、炎症が起こりやすくなります。