不妊症の原因

不妊症の原因で最近多くみられるのは、子宮内膜症・性行為感染症・男のインポテンスの3つです。

子宮内膜症は晩婚化&晩産化、性行為感染症は性の自由化、インポテンスはストレス社会というように、現代社会のありようを反映しているかのようです。

子宮

子宮内膜症の原因は今のところ不明ですが、妊娠・出産によって一時的に生理がなくなると、他の場所に飛んでいた内膜も増殖を起こさなくなり、治ってしまったり、病気の進行が止まります。

ですから、若いうちに妊娠・出産を経験することがこの病気の予防法ともいえるのですが、最近はその逆に30代の結婚&出産が増加し子宮内膜症が不妊原因の人が増えています。

なお、晩婚化は子宮内膜症だけでなく、卵子の老化という問題にもつながっており、卵子の老化による排卵障害も大きな問題です。

バイキン

一方、性行為感染症ですが、中でもクラミジアという微生物のよる性行為感染症が激増しています。

クラミジア自体は抗生物質によって治療できますが、早期発見ができずに慢性化してしまうと、子宮頸管や子宮内膜・卵管・卵巣・腹腔の炎症が組織の破壊や癒着などを引き起こすことになり、ひいては不妊症を招きます。

元気のない男性

さらにインポテンスの問題ですが、性欲がない・あっても勃起しない、などで悩んでいる20~30代の男性が増えています。

これらの多くは精神的な問題が背景にあるもので、ストレスや働きすぎなどが関係しているようです。

排卵障害

FSH(卵胞刺激ホルモン)分泌低下
脳下垂体からの指令

脳下垂体の機能低下や脳下垂体を刺激する視床下部の働きが十分でないと、FSHの分泌が低下して排卵が起こりにくくなります。

高プロラクチン血症
(高PRL血症)
プロラクチンという乳汁分泌を促すホルモンが、血液中に過剰に分泌される状態を言います。
プロラクチンには排卵を抑制する作用があります。
多嚢胞性卵巣症候群
(PCO PCOS)
卵巣の表面が硬いために卵子が育たず、小さな嚢胞が沢山できて排卵しにくい状態を言います。
早期卵巣不全
40歳未満で月経が無くなり、閉経後と同じホルモン状態になることを言います。
黄体化非破裂卵胞症候群
卵巣

卵巣内の卵胞が成熟するものの、排卵期になっても卵胞内の卵子が外に飛び出せない(排卵できない)状態を言います。

卵管障害

卵管閉塞
卵管の役目は、精子の通路としての働きや、受精卵を子宮に導く働きがあります。
卵管が閉塞すると、精子や受精卵が移動することができません。
卵管閉塞には、片側または、両側が詰まっている場合と卵管の通りが悪い場合があります。
最近では、クラミジア感染症による卵管炎から卵管の癒着や閉塞を起こすケースが多くみられます。
卵管周囲の癒着
卵巣・卵管

腹部の手術や腹膜炎や子宮内膜症で、卵管のまわりに癒着が起こることがあります。

dt>卵管采のピックアップ障害

卵管采の形や位置が悪いため、あるいは癒着があるなどのため、排卵した卵子を卵管に取り込む(ピックアップ)ことができなくなります。

子宮内膜症

  • 子宮内膜と同じ組織が何らかの原因で、卵管や卵巣・腹膜・膀胱・膣・直腸など、子宮内腔以外の部位に飛び火し、そこで本家の子宮内膜と同じサイクルで増殖と剥離を繰り返す病気で、進行すると不妊症の原因になります。
  • この組織は子宮内膜と同じように月経のたびにそれぞれの部位で出血を起こします。
  • 子宮内膜

    腹膜にできた場合は強い月経痛が、直腸にできた場合は月経時に下痢や血便が、膀胱にできた場合は月経時の血尿が、卵巣にできた場合はチョコレート嚢腫と呼ばれ、チョコレートのような液体がたまった嚢腫ができ強い月経痛が、子宮の筋肉にできた場合(子宮腺筋症)は子宮全体が硬く腫れて強い月経痛が、それぞれ起こりやすくなります。

  • 子宮内膜症が卵巣にできた場合は排卵障害が起こりやすくなり、また出血が繰り返されることで卵巣や卵管周辺に癒着が起こり、卵管の閉塞も起こしやすくなります。
  • さらに癒着がひどくなると、子宮・卵管・卵巣など骨盤内の組織が、ひとかたまりになり、骨盤壁ともくっついて「凍りついた骨盤」と呼ばれる状態になり、排卵・受精・受精卵の着床などの妨げになり不妊の原因になります。

子宮頚管の精子通過障害

子宮頚管粘液の状態が良くない
排卵時期に、頸管粘液の分泌量が少ないか、粘液の粘度が低いと、精子が頸管を通過して子宮に侵入しにくくなります。
抗精子抗体
おたまじゃくしと卵

精子は女性の体にとっては異物ですが、通常では抗体反応が起こりません。
ところが抗体ができている女性では、精子を異物としてとらえるため、子宮頸管でシャットアウトしてしまいます。

着床障害

子宮筋腫
子宮筋腫の発症する部位や大きさによっては、受精卵の着床を妨げることがあります。
子宮腺筋症
健康な子宮・卵巣

子宮の筋肉にできた子宮内膜症を言い、子宮内膜の筋肉が硬く腫れた状態になりやすく、受精卵の着床の妨げになります。

子宮奇形
子宮胞の形態異常で、いくつかの種類があります。受精卵の着床障害や流産などの原因になります。
子宮内膜ポリープ
子宮内膜の一部が増殖してできた良性の腫瘍で、着床障害を招くことがあります。
黄体機能不全
黄体ホルモンの分泌が不十分な状態で、排卵後に子宮内膜が厚くなりにくいため、着床障害を招くことがあります。

男性不妊

不妊症の検査に精液検査の基準値と異常値を記しておきましたが、検査日に全ての項目をクリアーしていても、その後の体調など様々な条件によって精子の状態が変化することもあります。

また、特に奥様が、妊娠しにくい体質や疾患がある場合は、男性が日頃から精子を”強化”して、奥様の分をカバーするくらいの気持ちが必要になります。

このお互いを思いやる気持ちが、妊娠という喜びにつながりますし、実際当店でも奥様だけが漢方薬を服用するよりも、お二人で服用される方が妊娠にいたる確率が高いように思います。

男性不妊の原因

男性不妊の原因は、

  1. 造精機能障害
  2. 精路通過障害
  3. 性機能障害
  4. 精子機能障害

の4つに分類されますが、造精機能障害が80~90%を占めています。

1.造精機能障害
名前の通り、精子を製造する機能に問題があります。
精子の状態によって、乏精子症、非閉塞性無精子症、精子無力症、精子奇形症の4つがあります。
2.精路通過障害
精子の通り道である精管が生まれつきあるいは炎症などによって詰まっている状態を言い、全体の5~10%を占めます。
3.性機能障害
仕事のストレス

勃起障害(ED)や射精障害や性欲の低下などがあります。
勃起障害には、心理的な機能性EDと勃起に関わる組織に問題のある気質性ED、両方に問題のある混合型EDがあります。
バイアグラなどが効く場合もありますが、心理的な要因が大きいので、カウンセリングや性生活の環境づくりが大切になります。

4.精子機能障害は
精子を製造する機能には問題がないが、炎症や免疫反応により精子の機能が低下している状態を言います。 精巣や前立腺の慢性炎症や抗精子抗体などの免疫異常が含まれます。