あなたの手当が命を救う!
突然の病気やけがで、目の前の人が急に倒れ、意識がなくなってしまったら、あなたはどうしますか?
尊い命を救うためには、すぐに119 番通報するとともに、一刻も早く応急手当を行なうことが重要です。
万がーの時に備え、ぜひ身につけておきたい救命処置。
今回は『救急蘇生法』をくわしくとりあげます。
いざという時の救急蘇生法
救急車が要請を受けてから現場に到着するまでの時間は、全国平均で約6分だといわれています。
この空白の6分間こそが、傷病者の生命を大きく左右するのです。
この図は、緊急事態における時間の経過と死亡率の関係を表わした「カーラの救命曲線」です。
ご覧のように、心臓が停止した状態で何の処置も施されなければ、3分後には死亡率が約50%にまで達してしまいます。
同様に、呼吸が停止した場合にも、10分後には50%の死亡率となってしまうのです。
生死の分かれ目は、まさに時間との勝負だといえます。
家庭内やあるいは町中で、誰かが突然倒れたら、落ちついて、まず意識があるかどうかを確認します。
呼びかけに反応がなければ、すぐに救急車を呼び、それと同時にできるだけ早く、心肺蘇生法とAED(自動体外式除細動器)を用いた救急蘇生法を行なってください。救急車が到着するまで、または倒れた人に明らかな回復がみられるまでは、くり返し続けることが重要です。
心肺蘇生法の具体的な手順やAEDについては、以下の解説を参照してください。
心肺停止などの緊急事態は、いつ誰の身に起こるともかぎりません。
その時に適切な処置が行なえるよう、消防署などが催す講習会には積極的に参加しておきたいものです。
①意識の確認&救援を求める
人がいない場合は自分で119番に連絡。ともかく救急への連絡を迅速に!
②気道の確保&呼吸の確認
気道を確保したまま、倒れた人の顔に近づき、呼吸しているかどうかを調べる。着目点は、
- 胸や腹部の動きを見る
- 耳で呼吸の音を聴く
- 自分のほおで吐く息を感じる
正常な呼吸をしていたら、回復体位(次ページ)にして様子を観察する。
③人工呼吸
- 額に置いた手の親指と人差し指で、倒れている人の鼻をつまむ。
- 自分の口を大きく開けて、相手の口を覆い、1秒かけて深く息を吹き込む。
- これを2回くり返す。
人工呼吸がためらわれる時は、省略してもよい。また呼吸が回復しない場合にも、2回終わったらすぐに次の心臓マッサージにうつる。
④心臓マッサージ(胸骨圧迫)
- 手のひらが下になるように両手を重ね、胸の中央に置く。
- ひじをまっすぐに伸ばして、手のひらの付け根に体重をかけ、上から垂直に胸が4~5cm沈むほど強く圧迫する。
- 早さは1分間に100回のペースで、30回連続して圧迫する。
- 人工呼吸2回と心臓マッサージ30回をセットにし、くり返し行なう。
ただしAEDが到着したら中止し、すぐに使い始める。
回復体位
意識ははっきりしないが、正常な呼吸をしている時にとらせる姿勢。
舌が落ちこんだり、吐いた物がつまって窒息するのを防ぐ。
心肺蘇生法やAEDの処置によって呼吸が回復したら、この姿勢で救急車の到着を待つ。
- ベルトやネクタイなど身体を締めつけるものはゆるめる
- 横向きにして下あごを前に出し気道を確保する
- 脚を曲げて体を安定させる
- 頭の下に手を入れて安定させる
AEDの使い方
AED は、心臓に電気ショックを加え、心臓の拍動を正常に戻す装置。
操作方法は機械が音声で指示してくれるので、誰でも適切に使用できる。操作の流れは、以下のとおり。
- AEDを倒れた人のそばに置き、ケースを開けて、電源を入れる。
- 電極パンドを取り出し、1 枚を右胸にもう1 枚を左脇腹に、空気が入らないようにしっかり貼る。
- 心電図の解析が自動的に始まる。周囲の人は倒れている人から離れ、誰もさわらないようにする。
- 「電気ショックが必要です」と声が流れたら、電気ショックのボタンを押す。倒れている人にはふれないようにする。
- AEDの指示に従い、人工呼吸と心臓マッサージを再開する。電極パッドは貼ったままにする。
- 約2 分後に再び解析が始まるので、救急車が到着するまでは、音声の指示どおり、人工呼吸→心臓マッサージ→AEDをくり返す。
AEDは、駅や空港、学校、役所、ホテル、商業施設、公共施設などに、設置が進められています。
出典:うちの薬箱