血圧コントロールのためには『減塩』は不可欠ですが、突然、味つけが単なる『薄味』になったのでは、おいしい食事とはいきません。
そうなると長くは続かず、続かなければ減塩の効果もありません。
そこで今回は、塩味に代わる味つけや、血圧を下げる栄養素を採り入れて、味気なさを補う工夫を紹介します。
ぜひ今日から、無理のない減塩生活を続けてください。
身近なところを見直す
血圧が高い人は、1日の食塩摂取量を6gにしなければ、降圧効果は得られないといわれています。
日本人の平均的な食塩摂取量は12g程度ですから、単純に考えても、現状の半分の量に減らすことになります。
しかし、この塩分量では、どうしても味気なさを否めません。
減塩は続けなければ意味がないので、いきなり塩分を半分にしようと思わず、少しずつ薄味に慣れることを考えるようにしましょう。
まず、家庭にある調味料は減塩のものに替え、市販のだしの素は、食塩が含まれていないものを選んでください。
佃煮や梅干し、漬物などの常備食は、今までより出番を減らします。
簡単な副菜がほしい時は、浅漬け、即席漬けがよいでしょう。
かまぼこや薩摩揚げなどの練り製品、ハムやベーコンなどの加工食品も、塩辛くはないのですが、塩分が多く含まれています。
肉はできるだけ生肉を使い、魚も、干物よりは生を選ぶようにしたいものです。
塩分の代わりの味つけ
煮物、汁物に使うだし汁は、濃いめに作り、だしのうま味で薄味を補いましょう。
みそ汁は、具だくさんにすれば、さらに減塩できます。
焼き物・揚げ物には、レモンやすだちの果汁をかけるとよく合います。
柑橘類だけでなく、酢、香辛料、香味野菜などは、酸味や香りがアクセントになり、味気ないものになりがちな料理が、一味違ってきます。
酢は、塩味を引き立てる効果があり、またそれ自体が血圧を下げる働きがあるので、いろいろな料理で活用してください。
おすすめ素材
高血圧の人に減塩が必要なのは、食塩に含まれるナトリウムが、血圧を上げるからです。
カリウムは、体内の余分なナトリウムを排泄するので、血圧の上昇を抑えます。
また食物繊維も、ナトリウムを吸着して体外に排泄する働きがあります。
さらに、カルシウム、マグネシウム、ビタミン類も、血圧コントロールに必要な栄養素です。
これらが豊富な食材は、野菜・キノコ・海藻類です。
イモ類や果物類にも豊富ですが、食べすぎるとカロリーオーバーしやすいので注意が必要です。
また、穀類は精製していないほうが、ビタミン・ミネラル・食物繊維を多く含んでいます。
時には、白米を玄米や雑穀にしたり、パンを小麦 腫芽・ライ麦・全粒粉パンに替えてみることをおすすめします。
まずは第一歩を
始めは基本の、しょうゆやソースは「かけるよりつける」、ラーメンやそばなどのつゆは飲まずに残す、を守ることです。
次は、加工食品(肉加工品・冷凍食品など)を使った時は調味料を控える、といったことを心がけてみましょう。
できることから一歩ずつ、減塩を達成してください。
減塩お助けレシピ(材料はすべて2人分)
豆腐のソテー おかかチーズ
大豆に含まれるペプチドは、血圧を下げる働きがあります。
かつおぶしやチーズのうま味があるので、からしじょうゆは少量でも満足。
②フライパンに油小さじ2を熱し、①を並べて焼く。
③豆腐がこんがり焼けてきたら、片面にチーズをのせ、ふたをして蒸し焼きにする。
④③を盛りつけ、好みでからしじょうゆ(からし2g、しょうゆ小さじ1)をつける。
あさりと青菜のトマト妙め
ミネラル・ビタミン・食物繊維、すべて豊富で低カロリーなトマトは、毎日でも使いたい食材です。
あさりのうま味成分タウリンも、高血圧予防効果があります。
②フライパンに油小さじ1とにんにくを入れて火にかけ、香りがでたら、あさりと白ワイン大さじ1を加えてふたをする。
③あさりのロが開いたら、チンゲソサイとトマトを加え妙め、しょうゆ小さじ1、塩・こしょう少々で味を調える。
レバーの香味揚げ
薬味でしっかり味をつければ、減塩してもおいしくなります。
油のコクも減塩を力バーしますが、力ロリーオーバーには注意しましよう。
②しょうが・にんにくのみじん切り大さじ1、赤唐辛子のみじん切り少々と、しょうゆ大さじ3/2、みりん大さじ2/1を合わせる。
③レバーをそぎ切りにし、②に20分ほど漬けこむ。
④レバーの水気をきって、片栗粉を薄くまぶし、170℃の揚げ油でカラリと揚げる。
⑤レタスの細切りとプチトマトを添えて盛りつける。
手ばかりで簡単減塩
料理のレシピでは、塩や砂糖の量がたいてい、「小さじ1」や「1/2」などと表記されています。
こんな時“手ばかり”を覚えておくと便利です。
- 親指、人差し指、中指の3本でつまむ=「ひとつまみ」……小さじ1/4の量です。
- 親指と人差し指でつまむ=「少々」……小さじ 1/8の量です。
これを参考に、レシピの塩分を“手ばかり”で減らしてみましよう。
「塩小さじ1/2」は3本の指でつまむ、「塩ひとつまみ」は指2本でつまむ、「塩少々」は2本の指でつまんで半分こぼす、といった具合です。
ただしこの方法は、指の太さやつまみ方でも微妙に量が変わります。
本来、高血圧のために塩分制限が必要な人は、調味料をきちんと計量スプーンで計ることが原則、ということは覚えておいてください。
出典:うちの薬箱