ガン治療における中医学の適応と目標
(1)西洋医学的治療では根治不可能な場合
- 手術・放射線療法・化学療法などの治療効果が、ほとんど期待できない場合。
- 高齢や合併疾患などにより、西洋医学的治療のリスクや副作用が大きいと考えられる場合。
- 患者が自主的に西洋医学的治療を拒否し、中医学を求めてくる場合。
- 生存期間の延長、症状の緩和、QOL(生活の質)の向上を目的とする場合など、西洋医学の代わりに中医学を利用する。
(2)西洋医学的治療で根治可能な場合
- 西洋医学的治療に伴う副作用、後遺症の軽減
例えば、手術・放射線・化学療法、輸血による免疫機能低下や体力低下の改善。
あるいは、手術や放射線治療後の障害、カテーテルなどの人工物による感染などに対する、長期間の予防と治療の場合。 - 新たな発ガンの予防と体力増強
これは、抗癌剤や放射線治療による二次発ガンや、手術による残存腫瘍の増大加速現象の予防と治療の場合、または前ガン病変やガン遺伝子を持つ患者のプロモーターを抑制する場合、体力増強、免疫機能改善による腫瘍の合併疾患や他の疾患の代能と治療をする場合に中医学が活用できる。
ガンの病因病機 ~病因について~
- 外因
- 風・寒・暑・湿・燥・火という六淫の邪気が人体の虚弱状態に乗じて侵入することである。
六淫は自然環境に存在している物理的・化学的・生物的病因の様々を指しているが、近年特に発ガン性の強い一部の環境的要因(例えば化学物質)は、「毒邪」として認識されている。
六淫と合わせて、湿毒・火毒・燥毒などがあげられる。
- 風・寒・暑・湿・燥・火という六淫の邪気が人体の虚弱状態に乗じて侵入することである。
- 内因
- 主に臓腑の気血津液の虚弱と七情の過激と関わっている。
臓腑の先天不足や後天的虚弱は免疫能を低下させたり、または精神的ストレスの長期的な蓄積や過激化したりすることなどによって、臓腑の機能および免疫能が乱れ、外邪はそれに乗じて侵入し発ガンさせる。
- 主に臓腑の気血津液の虚弱と七情の過激と関わっている。
- その他
- 食生活の要因つまり飲食の不摂生、偏食、過食、タバコやお酒の嗜好の過用と発ガンとの関連もよく協調されている。