うつ病の漢方療法

精神状態のうち、「気分の落ち込み」に注目してまとめられたグループが「気分障害」で、うつ病はこの中に分類されています。

うつ病は、憂うつ感や興味の減退、焦燥感(いてもたってもいられない)など精神症状とともに、食欲低下、頭痛、疲労感などの身体症状も多く現われる病気です。

特に、気分がひどく落ち込んだり意欲が低下するなど、精神面の症状が強く現われる病気で、人口の1割が生涯のうち一度はかかる病気といわれるほど多い病気です。

心失所養かも

受験の失敗、失恋、仕事上のトラブルや人間関係、家族との離別など、人生には思うようにならないことや、思いがけない不幸に遭遇することがあり、そのような時は、誰でも憂うつな気分に襲われます。

でも通常は、落ち込んだ気分は時間とともに回復して、立ち直っていくものです。

このように、感情には回復力があるものです。

ところが、「うつ病」の人は、気分が落ち込んだままの状態が続きます。

この回復力がなくなった状態を、漢方医学では、「心失所養」といいます。

「心失所養」とは、「こころ」を元気に回復するエネルギーや栄養が不足した状態を指します。

少し専門的になりますが、以下のようなタイプに分類されます。

詳しくは、漢方百草園薬局までお問い合わせ下さい。

うつ病のタイプ別漢方療法

タイプ うつ病(DD)の症状ほか 代表的な漢方薬
Aタイプ ゆううつ感(精神抑鬱)、気分が晴れない、情緒不安定、よくため息をつく、胸や脇の脹満や脹痛、みぞおちが脹って苦しい、ゲップがよくでる、腹が脹る、食欲不振、吐き気や嘔吐、大便がすっきり出ない、月経不順、などの症状がよくみられる、
舌苔薄あるいは膩、脈弦…
柴胡疏肝散、香蘇散、逍遥散合半夏厚朴湯、
虔脩感應丸、越鞠丸加減
Bタイプ イライラ、怒りっぽい、緊張感、胸が悶々とする、胸や脇の脹満や脹痛、みぞおちが脹って苦しい、胸焼けして胃酸がこみ上げる、口乾、口苦、大便不調あるいは便秘気味、頭痛、目の充血、耳鳴り、めまい感、不眠傾向、などの症状がよくみられる、
舌質紅、舌苔黄、脈弦数…
丹梔逍遥散、黄連阿膠湯、虔脩感應丸、越鞠丸加減、柴胡加竜骨牡蠣湯合芍薬甘草湯
Cタイプ のどに物が痞えたような不快感を感じる(吐き出そうとしても出せず、飲み込もうとしても下に降りない)、胸の閉塞感、脇痛、動悸、不眠傾向、多夢、精神の恍惚、などの症状がよくみられる、
舌苔白膩、脈弦滑…
半夏厚朴湯、四七湯、柴朴湯、加味温胆湯、越鞠丸加減
Dタイプ 精神の恍惚、不安感や焦燥感(いてもたってもいられない)、悲しみ憂うことが多い、よく泣く、あくびがよく出る、などの症状がよくみられる、
舌質淡、舌苔薄白、脈弦細…
養心湯、天王補心丸、甘麦大棗湯、ケアバランス
Eタイプ よく思いわずらい悲観的、臆病、不安感とともに動悸がする、眠りが浅い、健忘、顔色に艶がない、めまい、息切れ、疲労倦怠感、元気が出ない、食欲不振、などの症状がよくみられる、
舌質淡、脈細弱…
帰脾湯、加味帰脾湯、人参養栄湯、桂枝加竜骨牡蠣湯
養心湯、天王補心丸
Fタイプ 精力減退、精液がもれる、インポテンツ、健忘、耳鳴り、難聴、腰痛、脱毛、白髪、寝汗、疲労倦怠感、などの症状がよくみられる、
舌質淡あるいは紅、舌苔白あるいは少…
鹿茸大補湯、知柏地黄丸

※いくつかのタイプの混合タイプがよくみられます。

けんしゅうかんのうがん
てんのうほしんがん
ケアバランス
ろくじょうだいほとう