産後の養生

産後の養生は大変重要です。

産後の養生が悪いと、将来の病気につながったり、次の妊娠にマイナスの影響を及ぼしたりします。

中国では昔から、お産は病気ではないが、女性にとっては大きな負担がかかるので、産後100日は母子共に外出を控え、栄養を十分に摂り、保温に努め、体と共に子宮の回復をはかるという考え方があり、一人っ子政策を実施している現在も変わりません。

日本では職場復帰を急ぐ傾向がありますが、少なくとも産後8週間は職場復帰は避けた方が望ましいと思われます。

漢方薬を上手に利用して、産後の回復を早めるようにしましょう。

悪露

悪露は、産後7~10日経過すると赤色から茶褐色になり、量も段々減ってきます。

一般に産後4週から6週のうちになくなります。

漢方薬は、悪露をスムーズに減らして子宮の回復を助けます。

基本的な漢方薬
折衝飲、芎帰調血飲第一加減など

紅花木香香附子(ハマスゲ)
芎帰調血飲第一加減より 紅花<こうか>・木香・香附子
出血が酷い場合
基本的な漢方薬プラス田七人参など

田七人参(にんじん)
田七・人参

貧血と体力気力の低下

出産はかなりの出血と体力の消耗を伴いますので、産後は十分な鉄分の補給と休養と保温が必要になります。

漢方薬は、貧血予防あるいは治療、体力気力の回復に効果的です。

基本的な漢方薬
婦宝当帰膠、十全大補湯、人参養栄湯、加味帰脾湯、上記漢方薬プラス胎盤エキスなど

柴胡(さいこ)syouga
加味帰脾湯より 柴胡・生姜

母乳分泌不足

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漢方医学では、母乳は血液の余りと考えています。

体内の血液が不足すると、母乳が溜まりにくく分泌も悪くなります。

一方、母乳が十分に溜まっていても、乳腺の通りが悪くて胸が張ってうまく出ないことがあります。

血液不足(あまり胸が張らないことが多い)の場合
通乳丹、婦宝当帰膠加胎盤エキス、補中益気湯合四物湯、人参養栄湯、十全大補湯など

麦門冬(ジャノヒゲ)人参(にんじん)
通乳丹より 麦門冬<ジャノヒゲ>・人参
乳腺の通りが悪く胸が張ってうまく出ない場合
下乳湧泉散、加味逍遥散(合十全大補湯とするとより良い場合が多い)、逍遥散加胎盤エキス、逍遥散合開気丸加王不留行、小柴胡湯(逍遥散)合葛根湯など

柴胡(さいこ)半夏
小柴胡湯(逍遥散)合葛根湯より 柴胡・半夏<はんげ>

これも知っとこ!

乳児アレルギーの予防

これも知っとこ!

乳児を母乳で育てる場合は、母乳が唯一の栄養源になるため、母親の食生活が悪いと乳児アレルギーの原因となります。

また、昔は出産後すぐにマクリ(黄連1g、紅花1g、大黄1g、甘草1g)を服ませて胎毒下しをしていましたが、この習慣がなくなったことも乳児アレルギーの原因になっていると言われています。

正しい食生活が重要になりますので、栄養バランスを整え、特にビタミンやミネラル、乳酸菌や酵素などを適量補給することも考えるとよいと思います。

食生活については、妊娠中の食事に準じてください。