不妊症の漢方周期療法と西洋薬(主にホルモン剤)との併用

黄耆

婦宝当帰膠より 黄耆

当店で「漢方周期療法」を希望して来店されるお客様の中で、6~7割の方は、婦人科を受診しておられ、病院の薬と漢方薬を併用しておられます。

ここでは主に、このページの「西洋医学での不妊症のステップアップ治療」で記しましたクロミフェン療法やhMG-hCG療法と漢方薬の併用についてお話します。

また、黄体ホルモン製剤とカウフマン療法についても少し触れておきます。

クロミフェン療法と漢方周期療法

クロミフェン療法(クロミッド・セロフェン・セキソビットなどが用いられます。)は、排卵が遅れる・一定しない、などが原因でタイミングが合わないために妊娠しにくい方には一定の効果があります。

しかし、子宮内膜が薄くなる・排卵前後の頸管粘液が減少する、などの副作用があります。

場合によっては、6ヶ月以上連続して使用すると、むしろ妊娠率が低下するとも言われています。

菊花

菊花

クロミフェン療法を受けておられる方には、滋陰養血(血液を含む体に必要かつ有益な潤いを増やす)作用をもつ漢方薬(婦宝当帰膠<当帰養血膏>、杞菊地黄丸、鼈甲、紫荷車など)を併用することで、副作用を軽減して、妊娠率を高める方法を用います。

hMG-hCG療法と漢方周期療法

hMG-hCG療法は、直接卵巣を刺激して排卵を誘発する方法なので効果は高いですが、卵巣の過剰刺激による卵巣の腫れ・血栓ができる、といった副作用が起こる可能性があります。

地黄

地黄

hMG-hCG療法を受けておられる方には、活血化瘀化痰(体に不必要で有害なドロドロ血液を含む液体成分を除く)作用をもつ漢方薬(冠心Ⅱ号方、冠元顆粒、血府逐瘀湯、芎帰調血飲第一加減、爽月宝など)を併用することで、ある程度副作用を未然に防ぐ(軽減する)ことが可能になります。

このような副作用がなければ、「漢方周期療法」とhMG-hCG療法の相性は良く、排卵障害がある方の妊娠率を高めることができます。

黄体ホルモン製剤と漢方周期療法

黄体ホルモン製剤(ルトラール、デュファストンなど)は、主に黄体機能不全の場合に高温期に用いられますが、ホルモンを補充しているだけなので根本的な解決にはなりません。

当帰

当帰

また、ホルモン剤の影響で月経になっても基礎体温が下がりきらないことが多いので、月経期に上記の”体に不必要で有害なドロドロ血液を含む血液成分”を除く作用をもつ漢方薬を用い、 十分に月経血を排泄することで、次の周期への悪影響を避けるようにします。

カウフマン療法と漢方周期療法

カウフマン療法(卵胞ホルモン剤と黄体ホルモン剤を用いることで、脳の下垂体を刺激し、排卵を起こす方法)は、先天性の無月経や月経不順、あるいは排卵誘発剤の使いすぎによる卵巣の衰えから排卵誘発剤を用いても卵巣が反応しなくなった場合に卵巣を休める、といった場合に行ないます。

sennkyuu

血府逐瘀湯より 川芎

カウフマン療法を行なう場合は、排卵が起こらないので、「漢方周期療法」は適していません。

カウフマン療法が終了した次の周期には、排卵が起こる可能性があり、その際には「漢方周期療法」を併用すると大変効果的です。

また、ホルモン剤を用いると子宮内膜がデコボコになるとも言われています。

養血活血(骨盤内を循環する血液を増やして、血行を良くする)作用をもつ漢方薬をうまく用いることによって、子宮内膜が改善されていきますので、ホルモン剤を服用している場合に漢方薬を併用することには大きな意味があると考えられます。

柴胡(さいこ)

血府逐瘀湯より 柴胡

上記以外にも様々なケースがありますが、西洋薬と漢方薬は上手に併用することによって、 大変良い効果が得られることが多くみられます。