治療のステップ
西洋医学での不妊症治療では、まず不妊の原因に対する治療を行い、段階を追いながら妊娠にいたるまでステップアップしていくという考え方で治療を行います。
- ステップ1
- 原因の治療とタイミング療法を行います。
- ステップ2
- タイミング療法を行って、約1年経っても妊娠にいたらない場合は、人工授精を勧められます。
- ステップ3
- 両方の卵管が閉塞している場合や抗精子抗体がある場合は、体外受精や人工授精を勧められます。
重症の子宮内膜症の場合にも、早い時期に体外受精や人工授精を勧められます。
人工授精を数回以上繰り返しても妊娠にいたらない場合は、体外受精を勧められます。 - ステップ4
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重症の乏精子症や精子無力症、あるいは体外受精でも妊娠にいたらない場合は顕微鏡受精を勧められます。
主な治療法
排卵しにくい原因がはっきり分からなくても、あるいはその原因を根本的に治療できなくても、何とか排卵を起こして妊娠にいたるようにすることを目的に排卵誘発剤を用いる治療法が中心になります。
クロミフェン療法
卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を促進することによって排卵を誘発する方法で、通常は月経開始5日目から5日間、 排卵障害の程度に合わせて1日1~3錠を服用します。
(具体的に用いられる薬品名は、クロミッド・セロフェン・セキソビットなどです。)
※クロミフェン療法では、まれに頭痛や吐き気が起こることがあります。また、子宮内膜が薄くなったり、頸管粘液が減少する場合もあります。
hMG-hCG療法(注射薬によるゴナドトロピン療法)
クロミフェン療法では排卵が起こりにくい場合(クロミフェン療法を5~6周期行っても妊娠にいたらない場合)、あるいはクロミフェン療法と平行して用いられる方法で、hMG(ヒト閉経ゴナドトロピン、卵胞を発育させるFSH作用を持っています)に続けてhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン、成熟卵胞を破裂させて排卵を起こしたり、黄体を刺激したりするLH作用を持っています)を注射する方法を言います。
一般的には、月経開始3~5日目から1~2週間、hMG製剤を毎日注射して、卵胞の発育を促します。
経膣超音波検査で何度もモニターし、卵胞が十分成長したのを確認したら、排卵を起こす目的でhCG製剤を注射します。 通常、この注射から36~48時間以内に排卵が起こります。
※hMG-hCG療法では、卵巣が強い刺激を受けたために、卵巣過剰刺激症候群が起こったり、また多胎妊娠の可能性があります。