変形性膝関節症の症状
変形性膝関節症の初期には、膝のごく軽い痛みやこわばり感じ始める場合が多く、動作の初めに違和感を感じますが、動き出すと治まるという特徴があります。
しかし、何も処置をしないままでいると、だんだんと悪化していき、歩いているときにでも痛むようになり、最後には歩行も難しくなります。
そして、歩くことが少なくなると脚の筋肉や歩行に必要なその他の筋肉が衰えていき、ますます膝への負担が増すという悪循環になってしまいます。
ですから、膝の違和感を感じたら、早めに整形外科などで検診してもらいましょう。
変形性膝関節症の進行に伴う症状
初期の症状(1)
朝起床後、動き始め3~4分の間に「膝のこわばり感」がある。
5分も歩けばこわばり感は自然になくなり、昼間は何も違和感はない。
このような場合は、関節軟骨が磨り減りあまり滑らかではなくなり、 関節軟骨が擦れ合うことによって健常時よりも摩擦が大きくなっているために生じる症状と考えられます。
少し動き始めると違和感がなくなるのは、膝を動すことで関節内の滑膜から関節液(滑液)が関節腔に分泌され満たされることで、関節軟骨の摩擦が軽減されていくからです。
このような初期症状は、2~3ヶ月続くこともあれば、人によっては2~3年続く場合もあります。
初期の症状(2)
前項のような初期症状がもう少し進むと、「こわばり感」が「痛み」に変わってきます。
そして、朝の起床時だけだった膝の痛みが、昼間や夜間であっても何度も痛みを感じるようになってきます。
この場合の痛みは、膝の前側から内側にかけて感じることが多く、階段の上り下りや坂道の上り下り、座っている状態から立ち上がるときや急に体を方向転換するとき、しゃがんだり正座しようとする時によく感じます。
このように日常生活でもたびたび痛みを感じるようになり、初期段階ではさほど痛みは強くなく継続はしないので、貼り薬などで一時しのぎをしてしまがちですが、本当はこの時期に確実に治療をすることが大切です。
中期の症状
膝関節の変形が進行してくると、痛みはなかなか治まらなくなります。
階段の上り下りがますます辛くなり、膝を普通に曲げられなくなったり、また伸ばしきることもできなくなります。
これは、関節軟骨の変形が進んでいることと滑膜の炎症と肥厚によって起こる症状で、歩行時に膝が真っすぐ伸びないため、少し膝が曲がった状態で狭い歩幅でしか歩けないようになります。
またこの時期になると、触るとむくんでいるのが分かるようになり、炎症で外に腫れてきたりします。
変形性膝関節症で炎症が起こる原因は、関節軟骨が擦り切れたものやコラーゲンなどの壊れた摩耗物質が関節内側の滑膜を刺激するからです。
この炎症を抑え関節内の衝撃を少しでも軽くしようと、関節内の潤滑油の役割を果たしている関節液(滑液)を増やす(水がたまる)という一種の防御反応が起こります。
このくらいの症状の時期であれば、半年から1年ほど根気よく治療すれば、まだ治る可能性は高いと考えられます。
末期の症状
変形性膝関節症が末期になると、痛みはますます強くなり、日常の生活や行動は大きく制限されるようになります。
また、末期では一般的に水がたまる症状は減り、腫れが目立たなくなりますが、今度は関節の変形そのものが目立つようになり、O脚になってきます。
膝に水が溜まるのは、関節内の摩擦や衝撃を抑える防御反応ですが、膝の痛みが強いのに、末期では滑膜の働きが低下してしまい、関節液(滑液)の分泌も低下してしまいます。
また、軟骨の減少だけで関節の変形が起こっているのではなく、骨棘や骨堤と呼ばれる余分の骨ができ、関節内の接触面を広げて圧力を軽減しようとするからです。
末期になってしまうと、激痛によって外出はもちろん日常生活そのものが制約され、寝たきり老人となってしまう原因のひとつとされています。