子宮内膜症とは
子宮内膜症とは、子宮内腔にしか存在しないはずの子宮内膜や子宮内膜様の組織が、子宮以外の場所にできる病気で、近年若い世代から増加しており、成人女性の10人に1人は子宮内膜症があると言われています。
子宮の内側は子宮内膜という膜で覆われており、子宮内膜の細胞は2種類の女性ホルモンの作用によって増殖と増殖を止めたりしています。
この増殖は妊娠するための受精卵の着床の準備で、子宮内膜の厚さは約1mmから1cm前後の厚さになります。
そして、排卵後約2週間以内に着床しなければ子宮内膜は必要でなくなり、子宮内膜は剝がれ落ちて血液とともに排出され、月経となります。
子宮内膜症とは、この子宮内膜と同様な組織が本来あってはならない場所に出現する病気のことで、周期的な月経が、子宮以外の場所で繰り返されてしまいます。
しかし、子宮以外の場所で繰り返される月経は体外に排出できないため、そこは傷口のように炎症を起こし、炎症が繰り返されることで傷口を塞ごうとする繊維組織が形成されて、これが臓器や腹膜がくっつき癒着してしまいます。
癒着が発生すると、不妊になったり、臓器の機能に様々な支障をきたしてきます。
子宮内膜症が発症しやすい部位と原因
子宮内膜症が発症しやすい部位は、子宮の表面やその周辺臓器の表面、子宮筋層、卵巣内部、腹膜などです。
子宮内膜症の原因は諸説ありますが、子宮の内膜以外になぜ子宮内膜ができるのかについては、今のところ明確には分かっておらず、子宮筋腫と同様に、これといった予防策は残念ながらありません。
近年若い世代から増加しており、成人女性の10人に1人は子宮内膜症があると言われ、進行性の疾患のため、放置するとますます治療が困難になります。
子宮内膜症による癒着
卵巣の中に子宮内膜があると、卵巣に「 卵巣チョコレート嚢胞 」と呼ばれるものができます。
これは、卵巣内で子宮内膜が増殖・出血をくり返すため、袋状の嚢胞に血液がたまっていったもので、古くなった血液が泥状のチョコレートのような色になるので、こう呼ばれます。
月経で出血するたびに嚢胞は大きくなり、破裂することもあります。
40歳以上の場合はがん化する可能性もあり、たいてい<癒着>も起こっているので、手術療法が適しています。
また、子宮筋層に子宮内膜が発生すると、血液が病巣にたまり、子宮の壁が肥厚してきます。これを「子宮腺筋症」といいます。
子宮内膜症と同じような強い症状ですが、発生のしかたが違う点などから、子宮内膜症とは区別されます。