子宮筋腫の症状

子宮筋腫の種類

一般的には自覚症状があまりないのが子宮筋腫の特徴ですが、発生した場所や大きさによっては、過多月経など様々な症状がみられるようになります。

夜用など大きめのナプキンで1時間もたなかったり、月経が1週間以上続くのが過多月経で、レバーのような血液の塊が1日に何回も見られるような場合は、産婦人科などの医療機関を受診するとよいでしょう。

子宮筋腫の種類によって、以下のような症状が見られます。

子宮筋腫の種類 症状
漿膜下筋腫 子宮の内腔を圧迫しないので、症状が現われないことが多い。
そのために気づきにくく、かなり大きくなる例もある。
すると子宮の周囲の臓器を圧迫するようになり、腰痛、けん引痛、頻尿が現われる。
筋層内筋腫 小さいうちはほとんど無症状。
大きくなるにつれて子宮内膜の表面積を押し広げるため、過多月経や月経痛が現われる。
粘膜下筋腫 発生率は高くないが、上の2つより症状が重い。
子宮内膜を押し広げるため、過多月経や貧血、強い月経痛がみられ、妊娠にも影響することがある。
筋腫分娩はさらに出血がひどく、下腹部痛がある。
頸部筋腫 大きくなると膀胱や腸を圧迫するため、頻尿や排尿障害、便秘が起こりやすい。

子宮筋腫の治療方法

前項のような症状が患者さんにとってどれくらい負担になっているか、妊娠を希望しているが影響はあるかなど、個々の状況によって治療法が選択されます。

治療方法 内容
経過観察 筋腫が小さい、つらい症状がない、などの場合
3~6か月に一度は受診し、筋腫の大きさなどをチェックしながら様子をみる。
薬物療法 症状はつらいが手術をしたくない、などの場合
「鎮痛剤」や「鉄剤」などを使い、症状を緩和する治療。女性ホルモンの作用を抑えて筋腫を小さくする「ホルモン療法」もある。これは、更年期障害のような副作用がでやすいため、長くても6か月間しか行なわない。
子宮筋腫核摘出手術 妊娠を希望しているが筋腫に妨げられている、筋腫分娩、などの場合
筋腫だけを切除する手術。開腹しない内視鏡による手術もある。子宮は温存できるが再発率は高い。
子宮全摘出手術 妊娠は希望していない、筋腫分娩、などの場合
子宮ごと摘出する手術。卵巣にも異常がある場合は同時に摘出する。開腹のほか腹腔鏡による方法や膣から子宮を摘出する方法もある。
子宮動脈塞栓術 筋腫を取りたいが手術をしたくない、などの場合
筋腫に栄養を送っている血管をつまらせることで、筋腫を小さくする新しい治療法。脚のつけ根からカテーテルを挿入するので開腹しない。再発の可能性も低い。保険は適用されない。
  • 治療法は、患者さんの健康状態、筋腫の数・大きさ・発生部位などを総合的に考慮するため、希望する方法が適用できないこともあります。

子宮筋腫の最近の治療では、まずは経過観察を優先する傾向で、すぐに切除手術というわけではありませんから、子宮筋腫が見つかってもあわてずに納得のいく治療法を選びましょう。