今年もインフルエンザの季節となりました。毎年、数万もの人がかかり、また合併症による死亡者が多数でるなど、「たかがかぜ」と侮ってはいけないのが、インフルエンザです。
インフルエンザに負けない生活術
くしゃみ、鼻水などの「かぜの症状」は、大部分がウイルスの感染によって引き起こされます。
その種類は200以上あるといわれ、インフ ルエンザウイルスもその1つです。
しかし、普通のかぜとインフルエンザでは大きく異なる点がいくつかあり、予防や治療の面でとくに充分な注意が必要となってくるのです。
まずインフルエンザの特徴は、図1のように、普通のかぜよりも症状が格段に重いという点です。
潜伏 期間は1~3日といわれ、全身に及ぶ症状が急激に現われます。
2つめは、合併症を引き起こすなど、重症化しやすいことです。
とくに抵抗力の弱い高齢者や乳幼児、また心臓や呼吸器に慢性疾患がある人にその傾向が強く、肺炎、気管支炎、心膜炎、脳炎・脳症、中耳炎などを併発し、最悪の場合は死に至ることもあります(図2参照)。
3つめは、非常に感染力が強いという特徴です。
インフルエンザは、せきやくしゃみによって飛散し たウイルスが空気中に漂い、それを周囲の人が吸い込むことで感染します(空気感染)。
これは、普通のかぜにはみられない感染経路です。
しかも、冬場の乾燥した温度の低い環境は、ウイルスの生存に最も適しており、そのため広範囲にわたって爆発的に流行し、毎年、世界的な問題となっています。
インフルエンザの脅威
このような危険性をもつインフルエンザを、最も確実に予防する方法は、流行前にインフルエンザワ クチンの接種を受けることです。
現在、ヒトの間で流行しているインフルエンザは、Aソ連型、A香港型、B型の3種類のウイルスによるものです。
したがってワクチンも、これらすべてのウイルスに対抗できるよう、3種混合ワクチンが用いられています。
しかし残念なことに、ウイル スの変異や個人の体調などに関係して、ワクチンの予防効果は100%ではありません。
それでもワクチンの接種によって、発病予防や重症化予防に大きな効果が認められているのです(図3参照)。
日本では例年、12~3月にかけてインフルエンザが流行しますが、ワクチンの効果が現われるには、一般的に接種後2週間程度を要し、その後約5か月間持続します。
また接種回数は、13歳以上の人が通常1回(場合によっては2回)、13歳未満では、間隔を1~4週間あけて2回接種を受けることが必要です。
これらの点を考慮し、インフルエンザの流行が始まる前の10~11月中、遅くとも12月半ばごろまでに、予防接種を受けておくのが効果的だといえます。
とくに接種が勧められるのは、
など、重症化が心配される人たちです。
また、これらの人への感染を防ぐため、家族はもちろん、高齢者施設や保育(幼稚)園、学校などに勤務する人なども、予防接種を受けることが望まれます。
なお、強い「卵ァレルギー」がある人は、まれにアレルギー反応が起こることがあるので、事前に医師と相談しておく必要があります。
予防接種の費用は、保険の適用外となりますので、全額を自己負担することになります。
ただし、65歳以上の人と60~64歳で肺や心臓などに疾患がある人は、費用の一部を国と地方自治体で負担する制度があります。
詳細については、各市区町村に問い合わせておきましょう。
予防接種で先手を打つ!
予防接種は、インフルエンザ撃退の強い味方となってくれますが、それに加えて、自身も防衛態勢を整えておけば、発病や悪化の危険性をさらに減らすことができます。
下に示した生活術は、普通のかぜの予防にもつながります。
冬場の健康管理法として、ぜひ実行するようにしましょう。
「かぜは万病の元」といいますが、ことにインフル工ンザは、思わぬ事 態につながることもある、怖い病気です。
早め早めの予防対策で万全を期し、インフルェンザの流行にだけは乗りたくないものです。
- 抵抗力をつけるための心がけ
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- 過労を避け、充分な睡眠をとる
- 栄養バランスのよい食事を摂る
- 適度な運動を習慣にする
- ストレスを解消して、免疫力を高める
- 感染を予防するための心がけ
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- 外出後は、うがいと手洗いを忘れずに
- 人ごみを避ける
- マスクをする
- 加湿器などで部屋の湿度を保ち、換気を充分に行なう
出典:うちの薬箱