通称<ロコモ>といえば、聞き覚えがある方もいるのでは?
<メタボ>と対になる、健康寿命のキーワードとして注目され、どんどん認識が広まってきている言葉です。
「年だから」「億劫だから」「痛いから」・・・などと家の中に閉じこもりがちの方は、要注意です。
いつまでも元気に動かせる身体、維持していきましょう!
使わなければ衰える
ロコモティブシンドローム(locomotivesyndrome)、略してロコモといわれるこの言葉は、日本語では「運動器症候群」といいかえられます。
「ロコモティブ」とは、能動的な意味合いをもつ言葉で、医学的には「運動器」の意味で使われます。
運動器とは、身体運動を担う部位、骨、筋肉、神経系などの総称です。
この運動器の機能が低下し、これによって生活の自立度までも低下した状態が、ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)です。
広い意味では、要介護や寝たきりの状態も含まれます。
たとえ今は、屋外を15分以上歩ける程度の軽症のロコモであっても、近い将来、介護が必要になる可能性が高い状態といえます。
寝たきりや、要介護になる原因は、「脳卒中」や「認知症」が知られていますが、実は4人に1人は、ロコモを含む運動器の障害が原因なのです。
ロコモを引き起こすおもな病気として・・・
- 変形性関節症(ひざ、腰などの痛み)
- 骨粗鬆症<こつそしょうしょう>(骨折しやすい)
- 脊柱管狭窄症(足腰のしびれや痛み)
などがあります
これらの疾患が放置されたり、複数重なることで、運動機能が低下するのです。
このような病気については、しっかり治療を続けることが大事ですが、低下した運動機能は、病気の治療とは別に対処していく必要があります。
また、運動器は使わなければどんどん衰えていくものなので、これらの疾患がなくても、筋力の低下や、バランス能力の低下によって、ロコモは引き起こされます。
ですから、高齢者に限らず、家に閉じこもりがちな生活をしていると、 若い人でもロコモの危険性はあるのです。
では、下のロコモチェックをしてみましょう。
5項目のうち、1つでも当てはまれば、ロコモが疑われます。
ロコトレを毎日続けて、だんだんと運動機能を取り戻しましょう。
ロコモーションチェック
ロコチェックはテストではありません。
無理に試してみるのは転倒などの原因になるので注意してください。
日常生活から思い起こしてみるとよいでしょう。
-
1-家の中でつまずいたりすべったりする
-
2-階段を昇るのに手すりが必要
-
3-片脚立ちで靴下がはけない
-
4-横断歩道を青信号の間に渡りきれない
-
5-15分くらい続けて歩けない
一つでも当てはまったら、今日からロコトレ開始です!
ロコトレを習慣にして、ロコモの予防や進行を防止しましょう。
ロコトレを習慣に
ロコモの予防や進行防止のために提唱されているのが、ロコモーショントレーニング、略してロコトレです。
ロコトレの基本は、下の図の「片脚立ち」と「スクワット」の2つです。
ロコトレは、少しきついと感じるくらいのレベルで行なうのが効果的です。
ただし無理をせず、自分のレベルに合わせた方法で行ないましょう。
病気を治療中の人は、医師に相談してからにし、痛みを感じたらすぐに中止してください。
図にあるような回数で、毎日続けることが効果を上げます。
ロコモ予防のためには、筋力が衰え始める50歳頃から、ロコトレを行なうとよいでしょう。
治療中の疾患もなく、楽にできる人は、もっと負荷をかける方法で行なったり、ラジオ体操や各種スポーツを行なうこともお勧めします。
いつまでも自立した生活を送るために、ぜひロコトレを習慣にしてください。
ロコモーショントレーニング
<片脚立ち>
転倒しないように、つかまるものがある場所で行ないましょう。
支えだけでは不安な人は、誰かに付き添ってもらいましょう。
|
|
|
<スクワット>
足を肩幅より少し広めに開き、足の向きは正面から30度くらい外側に開きます。 足の裏の真ん中に体重をかける気持ちで。 ソファーやいすの前で行なうと安心です。 できない人は、机に手をついてもOk。
|
|
|
骨強化!の豆知識
ロコモの原因の1つ、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、骨が形成される”骨代謝(こつたいしゃ)”がうまく働かなくなると起こります。
骨代謝を活発にするには、骨に適度なストレスを与える、つまり力を加えることも必要です。
無理なく骨にストレスを与えるロコトレは筋力だけでなく骨の強化にも効果があります。
そして、ロコトレを心がけるなら、家に閉じこもらず、なるべく外へ出かけましょう。
実は、日光に適度にあたることも、骨強化につながります。
紫外線は、骨の形成に必要なビタミンDの合成を助けるのです。(強い日差しは避けましょう。)
さらに、骨の形成に欠かせないものは、言わずと知れたカルシウムの摂取です。
よく挙げられるのが乳製品や小魚ですが、意外なおすすめカルシウム源が鮭の水煮缶です。
骨も軟らかく加工されているので、身といっしょにほぐして、しょうゆやポン酢を少し垂らせば、おいしいカルシウム食になりますよ。