社会不安障害(SAD)のメカニズム
社会不安障害(SAD)の原因については現在でもまだ解明できていませんが、その発症のメカニズムについては解明されてきました。
脳内の神経細胞が情報を伝え合うために分泌する、数十種類の神経伝達物質のうち「セロトニン」とよばれる神経伝達物質が関係していると考えられ、セロトニンの量のバランスがくずれると社会不安障害(SAD)の発症につながることがわかってきました。
そこで、神経伝達物質セロトニンが神経細胞に再度取りこまれる(下の図)のを阻害するSSRIという薬が有効であることがわかり、社会不安障害(SAD)の治療で現在多く使用されています。
また、症状によっては抗うつ薬や抗不安薬も用いられます。
神経伝達物質とSSRIの役割
<神経細胞>
神経細胞間には隙間があり、その隙間を神経伝達物質が移動することで、様々な情報が伝えられる。
神経細胞間には隙間があり、その隙間を神経伝達物質が移動することで、様々な情報が伝えられる。
<通常の状態>
セロトニンがAから放出され、Bの受容体と結合することで、情報を伝達する。
余ったセロトニンはAに戻る。
セロトニンがAから放出され、Bの受容体と結合することで、情報を伝達する。
余ったセロトニンはAに戻る。
<社会不安障害(SAD)の状態>
(SSRIを服用した場合)
SADの場合、セロトニンがBに結合する量が少ない。
SSRIは、セロトニンが再取りこみされるAの取りこみ口にフタをする。
これで、神経細胞間のセロトニンが増え、Bの受容体に結合しやすくなる。(情報伝達が正常になる)
また、社会不安障害(SAD)では薬物治療の他に心理療法を並行して行う場合もあります。
(SSRIを服用した場合)
SADの場合、セロトニンがBに結合する量が少ない。
SSRIは、セロトニンが再取りこみされるAの取りこみ口にフタをする。
これで、神経細胞間のセロトニンが増え、Bの受容体に結合しやすくなる。(情報伝達が正常になる)
また、社会不安障害(SAD)では薬物治療の他に心理療法を並行して行う場合もあります。
社会不安障害(SAD)の心理療法
これらの心理療法には、薬物療法にあるような副作用はありませんが、患者さん自身が不安や恐怖にあえて飛びこんでいくぐらいの高いモチベーションがときには必要になります。
社会不安障害(SAD)も含めた不安障害全般にいえることですが、恐れている状況を回避しているだけでは治りません。
現在では不安を和らげる有効な薬も多くありますので、これらの薬を上手く利用しながら、あせらずにじっくりと時間をかけて取り組む姿勢が大切です。
特に社会不安障害(SAD)の人は「自分は弱い人間だ」と劣等感を持つことが多く、周りの人にもそう感じられてしまいます。
しかし、元々、より良い人生にしたい、人と良い関係を築きたい、というような欲求が強い人が実は社会不安障害(SAD)なりやすいのです。
劣等感など持つことなく、自分自身を認め自信をもって立ち向かってほしいものです。