自律神経失調症の漢方療法
自律神経は、心のありように大きく左右される存在です。
精神状態が自律神経の働きに作用し、ひいては肉体に影響を及ぼす、言葉をかえていえば、ストレスが自律神経の緊張を高め、それが続くと血管が収縮したままになって筋肉が収縮し、その結果が肩こりや頭痛などの肉体症状となって現われるわけです。
いわば、自律神経は”心とからだの接点”としてとらえることができるでしょう。
それゆえ、漢方療法では心身のバランスを保つことにポイントをおいています。
単に肩こりや頭痛などを静めるための、いわゆる”局所的治療”を行うだけではなく、その根本的原因を成している心身のバランスを回復させることによって自律神経失調症を治す、これが漢方療法の特徴です。
では、具体的に心身のバランスを保つために、漢方ではどういった処方が行なわれるのでしょうか。
まず、自律神経失調症では自律神経を安定させ、各内臓器官の働きをスムーズにし、収縮した血管をもとへ戻してやることが必要です。
血管がもとへ戻れば血液の流れがよくなり、血もきれいになります。
血液がきれいになれば新陳代謝が活発になり、そうなれば自律神経失調症による様々な症状も改善されます。
ですから、漢方では自律神経を安定させ、血液の流れをよくする処方が用いられることが多いわけです。
ちなみに、新薬では頭痛やイライラの際には鎮静剤を用いるのが一般的です。
ところが、鎮静剤には眠くなるという副作用があります。
しかも、一時的な対症療法ですから、薬の効果が切れればまたぶり返しかねません。
一方、漢方薬は正しく処方されていれば副作用の心配もなく、症状を根本から治す原因療法を行っていますので完治に近づきます。
少し専門的になりますが、以下のようなタイプに分類されます。
詳しくは、漢方百草園薬局までお問い合わせ下さい。
自律神経失調症のタイプ別漢方療法
タイプ | 自律神経失調症の症状ほか | 代表的な漢方薬 |
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Aタイプ | ゆううつ感(精神抑鬱)、情緒不安定、ため息が多い、あくびがよく出る、胸脇の脹満や脹痛、片頭痛、食欲不振、腹が脹る、大便がすっきり出ない、口渇、口苦、月経不順、月経痛、などの症状がよくみられる、舌質紅、舌苔薄黄、脈弦… | 柴胡疏肝散、香蘇散、逍遥散、療方調律、虔脩感應丸、越鞠丸加減、血府逐瘀湯(=冠脈通塞丸) |
Bタイプ | イライラ感、情緒不安定が強い、頭痛(片頭痛)、口渇、口苦、 めまい(ふわふわ感)、不眠傾向、などの症状がよくみられる、舌質紅、舌苔薄黄、脈弦… | 竜胆瀉肝湯、丹梔逍遥散、柴胡加竜骨牡蠣湯、黄連阿膠湯、虔脩感應丸、越鞠丸加減 血府逐瘀湯(=冠脈通塞丸) |
Cタイプ | 胸が重苦しい、胸が詰る感じ、痰が多い、咽喉の閉塞感(梅核気)、などの症状がよくみられる、舌質淡紅あるいは偏紅、舌苔白膩あるいは薄黄膩、脈弦滑… | 半夏厚朴湯、四七湯、柴朴湯、加味温胆湯、越鞠丸加減 |
Dタイプ | 多思善慮(考えすぎる)、動悸、驚きやすい、不安感、不眠傾向、 物忘れ(健忘)、顔色に艶がない、倦怠感、めまい感、食欲減退、 などの症状がよくみられる、舌質淡、舌苔白、脈細弱… | 帰脾湯、加味帰脾湯、人参養栄湯、桂枝加竜骨牡蠣湯、養心湯、天王補心丸 |
※いくつかのタイプの混合タイプがよくみられます。