進歩している検査法と治療法
最近になって、関節リウマチの研究はかなり進み、検査法も確実に進歩して、早期に発見することができるようになりました。
また、治療法も進歩し、以前は痛みを緩和するしかなかったのですが、現在では関節の痛みや腫れ、炎症がない状態を目指せるまでになりました。
しかし、進歩した治療法もやはり、初期症状の時に発見して治療することが重要となります。
関節リウマチの検査法
現在の関節リウマチの検査法では、まず問診と診察をして関節リウマチに特有の症状の有無を確認し、次に血液検査と画像検査を行なって診断します。
血液検査は、リウマトイド因子と呼ばれる免疫の異常によって発生する物質の有無や状態を確認するというのが、これまでの検査方法でしたが、早期発見となる事例は半分前後と低いという問題点がありました。
しかし現在では、関節リウマチの発症前から検出でき、発症の危険が高くなるほど数値が上がる「抗CCP抗体」を調べるという新しい検査法が併用されるようになり、早期発見例が劇的に増えてきました。
関節リウマチの薬物療法
関節リウマチでは、薬物療法が治療の基本となります。
以前は、関節の腫れや痛みを緩和するのが主目的で「ステロイド薬」や「非ステロイド性消炎鎮痛薬」が使われていまたが、現在の薬物療法は劇的に進化し、関節リウマチの根本原因の免疫の異常を抑えたり、関節の破壊を抑制する薬が登場しました。
これらの新薬は「抗リウマチ薬」と総称され、初期症状のときから服用を始めれば、より効果が高まることがわかってきました。
そして近年になって、関節破壊の原因となる滑膜を攻撃する物質「サイトカイン」を抑制する「サイトカイン阻害薬」が認可されました。
このサイトカイン阻害薬と他の抗リウマチ薬との併用によって、関節の痛みや腫れ、炎症がない状態(緩解:かんかい)にまで回復する患者さんが増えてきました。
しかし、効果が高い代わりに副作用も起こりやすく、これらの抗リウマチ薬の使用には定期的な検査と医師の的確な診断が必須となります。
関節リウマチの運動療法(理学療法、リハビリテーション)
関節リウマチに罹患すると、関節の可動域が狭くなったり、筋力も低下するため、運動療法が必要となります。
医師や理学療法士から体操方法が指導されますので、自宅などで毎日続けて関節を動かすことが大切です。
また、物理療法の温熱療法や水治療法などで血行を良くして痛みを和らげる方法が指導される場合もあります。
さらに、装具療法として、変形した関節を補助したり、変形予防のための器具を装着すると効果的な場合もあります。
作業療法として、パソコンの操作や絵を描いたりして機能回復を図るもことあります。
関節リウマチの手術療法
関節リウマチの炎症が強くても、副作用などでこれ以上抗リウマチ薬を増やせないという場合や、関節が動かず日常生活にも支障をきたしている場合には手術療法の選択が検討されます。
関節リウマチの手術療法として、滑膜の炎症が強い場合は滑膜切除術、 関節の骨の破壊が進んでいる場合には人工関節置換術など、症状によって手術方法が選択されます。
しかし、手術を行なえば必ず元の関節のように動くという保証はなく、また悪化した関節リウマチの全てに手術が適応されるわけではありません。
手術が適用になったとしても、術後の経過には個人差がありますし、まれに感染症を起こすケースもあります。
関節リウマチの手術療法は薬物療法と同じく急速に進歩している治療法ですが、術後のケアやリスクなどについて医師と充分なコミニュケーションが必要です。
関節リウマチの基礎療法
関節リウマチの治療で大切なことは、病気と向き合う強い気持ちと日常生活の改善ですが、そのためにも関節リウマチに関する正しい情報を集め、自分自身で関節リウマチの特性を知ることです。
しかし、一般的には、関節リウマチを発症すると長くつき合うこととなりますから、最初から気負っていては心身ともに疲れて長続きしません。
関節リウマチは、体力も気力も疲弊してしまう疾患ですので、心にゆとりをもって腰を据えて治療を続けましょう。
基礎療法(生活上の工夫)
<運動と安静> 関節の痛みがあったり腫れている場合は、無理はせず安静にしておくべきですが、だからといって動かさないままでいると、関節は次第に硬くなってしまいます。 関節の硬直を避けるためには、医師や理学療法士の指導の下で、無理のない範囲で身体を動かすようにしましょう。 家庭で行える体操などを習慣にして、活動的な日常を過ごしましょう。 |
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<安静時間を作る> 関節リウマチの炎症は、体力も気力も疲れやすく、無理をすると悪化につながります。 1日に1時間程度は休息をとるようにしましょう。 |
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<保温> 関節リウマチでは関節が冷えると痛みが強くなり動かし辛くなりますので、寒い季節はもちろん、暑い時期でも冷房などで冷やさないよう、ひざ掛けや上着などで関節を冷やさない工夫が必要です。 入浴では、湯船にゆっくり浸かって身体を温め、湯上り後は体を冷やさないようにしましょう。 |
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<周りの理解が大切> 関節リウマチの症状として、疲れやすく体がだるくなりますが、それを「無気力だ」「やる気がない」などと勘違いされないよう、職場の人や家族に理解してもらう努力が必要です。 |