関節リウマチは自己免疫疾患
私たちには、身体の外部から侵入してきた細菌やウイルスなどの異物を排除し身体を守る「免疫」というシステムが備わっています。
しかし、何らかの原因でこの免疫システムに異常が起こると、外部からの侵入者がないのに自分の身体のある部分を侵入者のごとく免疫システムが攻撃をしてしまい、様々な症状が現れる場合があります。
このような免疫システムの異常によって発症する病気を「自己免疫疾患」といい、関節リウマチも自己免疫疾患のひとつです。
関節は、関節包に包まれて骨と骨をつないでおり、それぞれの骨の末端には軟骨がありクッションとなっています。
そして、関節内での動きを滑らかにするために、関節包の内側の滑膜という非常に薄い膜から潤滑油の役目をする関節液を分泌しています。
自己免疫疾患である関節リウマチでは、免疫システムに異常が起こることで、免疫細胞がこの滑膜を攻撃し炎症が起こり発症します。
関節の滑膜に炎症が続くと滑膜は増殖していき、次第に軟骨や骨に入りこみ徐々に関節を破壊していくのです。
その結果、軟骨が完全になくなり骨と骨が直接擦れるようになるため、関節を曲げられなくなり関節自体の変形も起こり、症状の進行とともに関節の痛みや腫れが増していきます。
正常な関節と関節リウマチの進行
正常な関節
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関節リウマチの進行
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関節リウマチの原因
関節リウマチの症状は、一般的には良くなったり悪くなったりを繰り返しながら進行することが多いのですが、中には症状が突然起こって急速に悪化することや、逆に悪化が進まないしない場合もあり、個人差が大きいのが特徴です。
関節リウマチのような免疫異常がなぜ起こるのかについて、長年様々な研究が進められていますが、その原因はまだはっきりとは解明されていません。
免疫異常には遺伝の関与が大きいということが知られていますが、血縁者に関節リウマチに罹った人がいる場合といない場合を比較すると、罹った人がいる場合の方が関節リウマチを発症しやすいというレベルです。
近年になって、関節リウマチには自己免疫疾患を起こしやすい体質が深くかかわり、そこに細菌やウイルスへの感染、過労やストレス、喫煙などの環境的誘因が加わることで、発症する場合が多いと考えられるようになってきました。
リウマチとは
関節リウマチ以外にも、自己免疫疾患に分類され、関節や骨、筋肉に痛みや腫れを起こす病気があります。
全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性硬化症(強皮症)、皮膚筋炎などです。
これらは特定疾患(難病)に指定されている病気で、総称して膠原病(こうげんびょう)といいます。
また、膠原病でなくても痛風や変形性関節症なども『リウマチ性疾患』と呼ばれています。
膠原病は『リウマチ性疾患』の一つということです。
通常の関節リウマチは特定疾患ではありませんが、悪性関節リウマチに進行すると特定疾患とされます。
また、「リウマチ」という言葉の由来は、ギリシャ語の「流れ」を意味する「リューマ」で、「脳から体中に悪い液体が流れ、関節などにたまって痛みや腫れを起こしている」のがリウマチ性疾患と考えられました。
悪性関節リウマチ
関節リウマチだから関節の病気というわけではなく、実際には全身に及ぶ病気です。
関節リウマチの炎症は、関節だけにととまらず血管や心臓、肺などの臓器にも及び、血管炎になったり、心膜炎や心筋炎、肺線維症など重篤な疾患を併発する場合があります。
このような症状が起こると「悪性関節リウマチ」とされ、特に難治性ということで特定疾患の一つに指定されていますが、関節リウマチから悪性関節リウマチに進行する例は全体の0.6~1%と少ないのが現状です。