漢方医学(中医学)からみた慢性の頭痛・片頭痛
漢方医学では、慢性の頭痛・片頭痛を、内傷頭痛、頭風、真頭痛などに分類しています。
内傷頭痛は、五臓六腑の病気や異変によって引き起こされるものであり、慢性的な経過をたどり、治療では頭痛を治療するだけでなく、臓腑の機能や陰陽のバランスを調整することが必要になります。
頭風は、発作性の頭痛で、頭痛が起こったり止んだりし、自然の風のように変わりやすい特徴をもちます。
いわゆる片頭痛で、精神的なストレスに関わることが多く、遺伝的な素因も影響しているとも考えられています。
真頭痛は、頭蓋内の器質的病変(脳腫瘍など)による頭痛を指します。
少し専門的になりますが、以下のようなタイプに分類されます。
詳しくは、漢方百草園薬局までお問い合わせ下さい。
慢性の頭痛・片頭痛のタイプ別漢方療法
タイプ | 慢性の頭痛・片頭痛の痛みの症状ほか | 代表的な漢方薬 |
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Aタイプ | 頭は重くて痛む、めまい、悪心、嘔吐、胸部や季肋部が脹って重苦しい、食欲不振、痰や唾を盛んに吐くなどを伴う、 舌質淡、舌苔白膩、脈滑あるいは弦滑… |
半夏白朮天麻湯、黄連温胆湯、釣藤散加減 |
Bタイプ | 頭痛は長年続き治りにくい、痛む部位が固定している、圧痛があり刺すように痛む、時に跳痛(ズキンズキンとする痛み)や鈍痛もみられる、顔色や唇が黒っぽいなど、 舌質暗紫あるいは瘀斑や瘀点、舌苔薄白、脈細渋… |
通竅活血湯、血府逐瘀湯(=冠脈通塞丸)、冠心逐瘀丹、冠元顆粒 |
Cタイプ | 片頭痛あるいは頭頂部の痛みが多い、悪心、嘔吐、首筋からこめかみにかけての凝り、胸部の煩悶、めまい、手足の冷えなどを伴う、 舌質淡、舌苔白滑、脈沈遅… |
呉茱萸湯加当帰川芎 |
Dタイプ | 頭部の片側あるいは両側に頭痛がひどい、熱感、赤ら顔、目の充血、耳鳴りあるいは難聴、口が苦い、口渇、便秘などを伴う、 舌質やや紅、舌苔黄、脈弦数… |
竜胆瀉肝湯、当帰竜薈丸 |
Eタイプ | 頭痛が頭部の両側にあり発作性を呈する、めまい、ふらつき、煩躁、イライラ、怒りっぽい、赤ら顔、疲労倦怠感、脇肋痛などを伴う、 舌質紅、舌苔薄黄、脈弦あるいは弦細数… |
天麻鈎藤飲、七物降下湯、丹梔逍遥散合釣藤散、杞菊地黄丸合釣藤散 |
Fタイプ | 頭痛の性質は綿々痛(シクシク痛)が多く、頭に空虚感がある、過労により痛みが誘発されたり増強されたりする、息切れ、疲労倦怠感、食欲不振、疲れやすいなどを伴う、 舌質淡、舌苔薄白、脈沈細無力あるいは虚… |
順気和中湯、補中益気湯、桂枝人参湯 |
Gタイプ | 頭痛の性質は隠痛(シーンとした痛み)が多く、頭がふらつく、身体を立てると頭痛が増悪し、横になれば軽減する、顔色が悪い、めまい、動悸、不眠傾向、健忘症など、 舌質淡、舌苔薄、脈沈細弱… |
加味四物湯、四物湯合呉茱萸湯 |
Hタイプ | 頭痛しかつ空虚の感があり、めまいやふらつき感、寒がり、手足の冷え、耳鳴りあるいは難聴、腰や膝が軟弱無力、不眠傾向などを伴う、 舌質淡あるいは紅、舌苔薄白あるいは少、脈細無力… |
大補元煎、杞菊地黄丸、八味地黄丸、真武湯 |
Iタイプ | 感冒、情緒変動、疲労、温度変化、睡眠不足などさまざまな要因により繰り返し発生、頭痛以外にこれといった症状はみられない、
※正気のすきに乗じて風邪が肝に侵入して深伏し、疏泄を失調させて肝陽が擾動しやすくなり、風邪を引き動かすたびに肝陽と結びついて風陽となって上部を襲い、頭痛が発生し長期にわたって反復する |
川芎茶調散 |