漢方医学(中医学)からみた関節リウマチ
漢方医学では、関節リウマチの発症には、風、寒、湿、熱邪の侵入(主に自然界の環境因子)及び正気の虚弱(体内の虚弱因子)が関わっていると考えています。
すなわち、関節リウマチの病因(病気の原因)には、内因と外因があります。
内因(内部因子)とは、肝脾腎(漢方医学でいう五臓六腑の一部)の機能失調及び正気の虚弱 免疫能力の異常や抵抗力の低下など)で、外因(外部因子)とは、風、寒、湿、熱邪などの侵入であり、気候の変化やウイルスの感染を指します。
正気の虚弱は、関節リウマチの発症に関する基本的な原因で、風、寒、湿、熱邪などは、その正気の虚弱のすきに乗じて侵入し、気血の運行障害を引き起こし、関節の疼痛や腫脹をもたらします。
正気の虚損が進行して、臓腑のバランスがより崩れると、肢体の変形や機能障害をもたらして、治療が難しくなります。
少し専門的になりますが、以下のようなタイプに分類されます。
詳しくは、漢方百草園薬局までお問い合わせ下さい。
関節リウマチのタイプ別漢方療法
タイプ | 関節リウマチの痛みと腫れの症状ほか | 代表的な漢方薬 |
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Aタイプ | 四肢の関節の発赤、腫脹、熱感を伴う痛み、関節を冷湿布で冷やすと痛みが軽快する、しばしば発熱、発汗、口渇などの症状を伴う、 舌質紅、舌苔黄あるいは黄膩、脈滑数… |
白虎加桂枝湯加減、越婢加朮湯合竜胆瀉肝湯 |
Bタイプ | 四肢・関節の疼痛、腫脹、関節の冷感、気候が寒くなると痛みが増強し、温めると和らぐ、寒冷によって関節痛が誘発されることが多い、しばしば寒がり、身体が重たい、四肢の冷えなどを伴う、 舌質淡、舌苔薄白、脈沈弦… |
ヨク苡仁湯加減、五積散合桂枝加苓朮附湯、ヨク苡仁湯合防已黄耆湯、ヨク苡仁湯合五苓散 |
Cタイプ | 寒の証候と熱の証候が同時にみられ、四肢の関節の発赤、腫脹、疼痛、熱感、手足の冷え、寒がり、微熱など、 舌質淡紅、舌苔薄白あるいは薄黄、脈弦数あるいは緩… |
桂枝加芍薬知母湯加減 |
Dタイプ | 四肢・関節の変形、刺すような痛み、疼痛部位が固定し、圧痛がひどい、しばしば普通の作業や身のまわりのことができない、全身の疲労倦怠感などを伴う、 舌質淡暗あるいは紫暗、舌苔薄白、脈沈細渋… |
補陽還五湯加減、疎経活血湯加霊田七 |
Eタイプ | 四肢・関節の変形や無力、関節痛、筋肉の萎縮、関節活動の不自由、しばしば腰や下肢の脱力感、めまいなどを伴う、 舌質紅、舌苔少、脈沈細弱… |
独活寄生湯、補陰湯加減、杞菊地黄丸合四物湯、知柏地黄丸 |
Fタイプ | 関節の変形や四肢の無力感、寒冷や疲労によって関節が痛くなる、四肢の筋肉の萎縮、痩せる、しばしば顔色が悪い、食欲不振、全身の疲労感などを伴う、 舌質淡、舌苔薄白、脈沈細無力… |
黄耆桂枝五物湯合四物湯加減、大防風湯、十全大補湯合防已黄耆湯、人参養栄湯合防已黄耆湯 |
Gタイプ | 関節の沈重感、腫脹、痛み、これらが長期に繰り返され、関節の変形、四肢の無力感、手足の冷え、時に肢体の浮腫、関節内の水の貯留、食欲不振、疲労倦怠感、腰や下肢の脱力感などを伴う、 舌質淡、歯痕有り、舌苔白膩、脈沈細弱… |
牛車腎気丸加減、鹿茸大補湯、真武湯合防已黄耆湯 |