卵巣ガンの概要

卵巣の腫瘍の約90%は「のう胞性腫瘍」ですが、残りの約10%が「充実性腫瘍」で、その7~8割が卵巣ガンです。そして近年、卵巣ガンは急速な増加傾向にあり注意が呼びかけられています。

卵巣ガンになりやすいタイプ

  1. 初潮が早く始まり、閉経が遅かった
  2. 出産経験がないか、または少ない
  3. 家族に卵巣ガンになった人がいる
  4. 子宮内膜症がある
  5. 動物性脂肪の多い食生活

卵巣ガンは、閉経までの排卵回数が多い人ほどリスクが高いと考えられ、また上記のような人がなりやすいといわれ、幅広い年齢で発症しますが、特に多くみられるのは40~50歳代です。

卵巣ガンの症状と治療

卵巣ガンも良性の腫瘍と同様、大きくなると下腹部痛や下腹部がふくれたりしこりが触れたり、腰痛や頻尿、便秘や不正出血、月経不順などの症状がでることがありますが、初期には無症状の場合が多く発見できないことが多いガンです。

また、下腹部が出てきたら「太ってきた」と思っていたり、腰痛や頻尿、便秘や不正出血などがあっても、病院に行くほどできないと安易に考えてしまうことが多いのです。

しかも、卵巣ガンは進行が早く転移しやすいというのが特徴ですから、婦人科系のガンでは死亡率が最も高いガンとなっています。

卵巣ガン治療法は、ガンの種類や進行状態、年齢などによって選択されますが、一般的には「手術療法」と「化学療法」が併用されます。

卵巣の腫瘍の診断は、一般的には以下のような手順で進めますが、腫瘍の良性か悪性かの判別がかなり難しいため、悪性の疑いが少しでもあれば、病巣の摘出手術を行ないます。

卵巣の腫瘍の検査

問診・触診 卵巣のはれを調べる
超音波検査 腫瘍の大きさ、位置、良性か悪性かの見当をつける
血液検査 腫瘍マーカーを検査し、良性か悪性かの判断材料にする
MRI検査・CT検査 腫瘍の大きさや位置、腹水の有無などを詳しく調べる
  • すべてを照らし合わせて診断されますが、腫瘍の性質を確定するには、組織を摘出(手術)して検査することが必要です

卵巣の腫瘍の場合、摘出が治療の原則で、その摘出範囲は腫瘍のみの場合や卵巣ごと摘出したり、卵管などの周囲を含めた摘出する場合もありますが、近年では開腹手術だけでなく腹腔鏡下手術も多くなってきました。

腫瘍の摘出 ~摘出部分の違い~
腫瘍だけを切除する 卵巣を切除する 卵巣の周りの卵管などの器官も切除する
腫瘍だけを切除する 卵巣を切除する 卵巣の周りの卵管などの器官も切除する

卵巣の腫瘍は、大きくなるまでは発見されにくいにくい病気ですので、前記の卵巣ガンになりやすい項目に当てはまる人だけでなく、30歳を過ぎたら定期的に検診を受けることをおすすめします。