B型肝炎の概要
B型肝炎とは、血液や体液を介して感染したB型肝炎ウイルスによって引き起こされる肝炎です。
現在、B型肝炎の治療を受けているほとんどの人は母子感染ですが、今では予防策が取られており、1985年以降に生まれた子供への感染はほぼありません。
また、日本国内でB型肝炎ウイルスに感染している人(キャリア)は150万人にも上ると考えられていますが、感染していても肝機能検査の値が正常の範囲という人も多く、実際に治療を受けている人は約10%だといわれています。
B型肝炎ウイルスの母子感染以外の感染ルートは、輸血や性行為などがあげられます。
B型肝炎ウイルスに成人が感染すると、ウイルスを排除しようとする免疫の働きによってまず急性肝炎が起こり、ウイルスが排除されることがほとんどです。
このことから、成人がB型肝炎ウイルスに感染しても、母子感染の場合以外は慢性化しないといわれてきたのですが、近年になって慢性化するケースが増えてはているようです。
成人のB型肝炎ウイルス感染では、症状が何も現れずにウイルスが排除される不顕性感染が70~80%で、残りの20~30%が急性肝炎を発症し、食欲不振や全身の倦怠感、尿の色が濃くなるなどの症状が現れます。
また、B型肝炎では肝細胞が短期間で急激に壊される「劇症肝炎」を起こし、まれにですが命に関わる場合もあります。
B型肝炎ウイルス(HBV)の抗原と抗体
HBs抗原 | 現在の感染を表す。B型肝炎の診断に必須。 | |
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HBe抗原 | 感染力の指標。 | |
HBs抗体 | HBs抗原が消滅した後に出現。 抗体の存在は治療や過去の感染を証明。 |
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HBe抗体 | HBe抗原が消滅した後に出現。 ウィルス排除の証明。 |
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HBc抗体 | 感染後、生涯持続する抗体。 |