肝臓病の検診
肝臓病は、かなり進行するまでは自覚症状がないため、早期発見には定期的な検診が重要となります。
肝臓病の検査は、市区町村や保健所などで公費によって実施されており、厚生労働省では、40歳から5歳ごとに行なわれている節目検査などで肝臓病の検査を定期的に受けることを勧めています。
詳しくは、お住まいの市区町村の窓口や保健所に確認してください。
また、会社員などが加入する健康保険組合が実施している場合もあり、医療機関でも検査が受けられ、肝炎の感染が疑われる場合には、検査に健康保険が適用されます。
一度もC型肝炎ウイルスの検査を受けたことがない人で、特に40歳以上の人は、ぜひ一度検査を受けることをおすすめします。
肝臓病の治療方法
ステロイド・リバウンド療法
体がウイルスに対抗しようとする力を薬によって高め、肝炎を鎮静化させる方法です。
GPT値が高いときにステロイド薬を約3週間使用し、炎症を治め、GPT値を下げます。 そして薬を止め、その急激な免疫反応でGPT値を上げます。
この免疫反応により、HBe抗体ができ、ウイルスの活動が抑えられます。
この療法では、一時的にGPT値が高くなる(重症化する)ため、肝硬変などで肝臓の能力が低下している際は行なえません。
また、薬を使用するタイミングなどが難しいため、この治療法を熟知した専門医による治療が必要です。
インターフェロン療法
インターフェロンは、ウイルスに感染したときに体内でつくられる物質で、免疫の働きを助け、ウイルスの活動を抑え、増殖を阻害する働きがあります。
この療法は、この物質を注射で投与してウイルスに対抗する療法です。
C型肝炎では、この療法で完全にウイルスを排除できることがありますが、B型肝炎ではウイルスの量が非常に多いため、完全に排除できません。
しかし鎮静化させる効果はあり、患者さんの20~30%程度はHBe抗体ができて、肝機能が安定します。
この治療法はC型肝炎に優れた効果を発揮し、状態に応じて抗ウイルス薬のリバビリンやペグインターフェロンとの併用療法が行われます。
また、ウイルスが完全に排除できなかった場合でも、肝ガンの発生率が抑えられます。
治療開始後1~2週間は、発熱や悪寒、筋肉痛などの症状が現れるため、たいていは入院して治療が行われます。
3週目以降に脱毛、そのほか甲状腺の炎症、糖尿病の悪化、うつ、不眠などの副作用が現われることがあります。
ペグインターフェロンの場合、発熱、悪寒、頭痛などの副作用は少ないですが、作用時間が長いため、血液中の血球系の副作用が多く、またリバビリンでは溶血性貧血が起こりやすいとされています。
ラミブジン療法
ラミブジンはウイルスの増殖を抑える作用がある薬で、肝炎が抑えられ、肝機能が安定します。
臨床試験のデータでは、約65%の患者さんのGOTやGPTの値が正常化しています。
内服薬を1日1錠服用するだけですむため、近年ではこの療法が多く行なわれています。
特別な副作用はありませんが、一生薬をのみ続ける必要があります。
また、長期に使用するとラミブジンの効かないウイルスが出てきて、肝炎が重症化することがあります。
その場合には早めにインターフェロン療法を行い、肝炎を鎮静化させます。
治療法にはそれぞれ長所・短所がありますので、専門医とよく相談しましょう。