月経中の不調はつらいものですが、月経のせいだと自分で気付きやすいものですし、比較的周囲の理解も得られやすいでしょう。
しかし月経前の不調は、それが月経のために起きているということに、なかなか気付かれません。
原因の分からない痛みや精神的な不安定はよけいにつらいものです。
今回はそうした月経前の不調についてみていきましょう。
PMSとは月経前症候群のことで、月経前にあらわれ、月経が始まると消失する様々な不快な症状の総称です。
それと自覚していなくても、女性のほとんどにこの症状があるといわれています。
その症状は150種類以上に及ぶとされ、その期間や程度も様々で、循環器系、免疫、皮膚、神経系、心理的、身体的に影響を与えます。
原因は特定できておらず、検査方法も確立はされていません。
しかし、それらの症状は生活習慣を見直すことでだいぶ改善できるようです。
症状の度合いに応じて、婦人科や心療内科を受診しつつ、生活スタイルを見直すことからはじめてみましょう。
PMSがもたらす精神的症状
など
PMSがもたらす身体的症状
など
PMSの原因
はっきりとした原因は解明されていませんが、卵巣ホルモンの毎月の変動が影響していると考えられています。
卵巣ホルモンには卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類があり、この2つのホルモンが周期的に変動し、排卵や月経をコントロールしています。
初経年齢が早まったことや、妊娠回数が減ったことによる、1人の女性が経験する月経数の増加、そしてそれに附随するトラブルも増えたことが原因に挙げられます。
また女性の社会進出による、精神的・身体的負担の増加も影響しているようです。
PMSサイクル
月経の周期は平均的に25日~38日で、排卵日は月経の約14日前です。
この排卵日から月経のあたりまで(場合によっては終るくらいまで)にPMSの症状が出るようです。
自己チェックしよう
症状は1ヶ月ごとに異なる場合もありますが、PMSだと気付くだけでも、改善につながるようです。
まず、月経の始まった日を月経周期1日目とし、できればこの日からチェックカレンダーを付けはじめると良いでしょう。
何らかの不調が出たら、その状態をカレンダーに記入していきます。
月経周期を2~3サイクルに渡ってチェックし、症状が月経前に集中していたら、その原因はPMSにあると考えていいでしょう。
また、既存の病気がその時期に悪化することもあります。
症状が出る強さやタイミングを自分で分かるようになると、心の準備ができ、症状が軽減されることもあります。
また、ある程度感覚でPMSを認識している場合でも、
カレンダーをチェックすることで客観的に分析できるようになると、新しい発見があるはずです。
受診の際は!
婦人科や心療内科を受診するかは、日常生活に支障をきたすかどうかで判断しましょう。
治療は、対症療法、漢方薬、ホルモン療法(ピルなど)、抗うつ薬などによって行なわれます。
月経時は病気ではないから、不調でも仕方がないと我慢ばかりせず、自分なりにうまく付き合っていく方法を探していくことが大切です。
セルフケア
PMSはよく効く薬も開発されていますが、生活を見直すだけでもかなり改善する場合が多いようです。
少しずつコントロールできるようになることで、自信も持て、精神的にも安定するでしょう。
リラックス
運動
軽い運動は血液循環を良くし、冷えの改善になります。
また汗をかくとむくみが取れますし、不眠の解消にもなります。
ウォーキングやヨガ、ストレッチなどがおすすめです。
食生活の改善
血糖値の変動の幅を抑えることがポイント。
仕事配分を調整する、無理をしすぎない
PMSと間違えやすい病気
PMSの症状に似ていても、症状が強い場合や、月経のタイミングに関わらず不調が続く場合は、他の病気が隠れている場合があります。
PMSと間違えやすい病気
~他の病気が隠れている場合があります~
うつ病・不安障害
慢性疲労症候群
極度の疲労が続き、微熱や頭痛を伴って、生活に著しい支障をきたす。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
20~30代に多く、甲状腺の腫れや頻脈などが起こる病気。初期症状として怒りっぽくなる、発汗が強い、疲れやすい、頭痛などが現われる。
甲状腺機能低下症(橋本病)
40~50代に多い。手足のむくみ、冷え、便秘などが起きる。
化学物質過敏症
建材などに含まれる化学物質が原因で起こり、むくみ、食欲低下を招く。
他に・・・
PMSの精神症状が非常に強い、PMDD(月経前不快気分障害)というものもあります。
PMS(月経前症候群)について、さらに詳しくは・・・