本格的な寒さの訪れとともに、
「お風呂上がりに、すねがかゆい!」
「布団に入ると、腰や太ももがかゆい!」
こういった症状でお悩みではありませんか?
それは、冬に起こりやすい乾燥肌が原因となっているのです。
乾燥肌は、なぜ、どんなふうに起こるの?
皮膚のいちばん外側の部分は、角質層と呼ばれています。
表皮の細胞の死んだものが、レンガの塀のように幾重にも積み重なってできており、外部のさまざまな刺激から肌を守るという、大切な役割(バリア機能)を担っているものです。
角質層の防御システムは、その保湿機能によって支えられています。
具体的には、
- ■角質細胞間脂質…
- 角質細胞すきまの隙間を埋めている天然保湿成分のことで、セラミドが代表的。体内からの水分の蒸発を防ぎ、角質層内に溜め込む
- ■天然保湿因子…
- 角質細胞内に含まれるアミノ酸の一種。周囲に水の分子を吸着させ、角質層の潤いを保つ
- ■皮脂膜…
- 皮脂腺から分泌された脂と汗が混じり合ってできる、弱酸性の「天然保護クリーム」。角質層の表面をスッポリと覆い、水分の蒸発をさらに防ぐ
これらの仕組みによって、角質層を健康な状態に保ち、文字どおり水も漏らさぬバリアとして、肌をガードしているのです。
ところが寒い冬になると、生体反応として新陳代謝が低下し、肌の保湿機能のスクラムにも乱れが生じてきます。
汗や皮脂の分泌が減って皮脂膜ができにくくなったり、角質細胞間脂質や天然保湿成分も減少してくるため、潤いが失われやすくなってしまうからです。
そのうえ、冬は湿度が低く、また暖房器具の使用でさらに乾燥が進むので、皮膚の水分がどんどん奪われていってしまいます。
その結果、表面がカサカサして粉をふいたような(実は角質層がはがれ落ちた状態)乾燥肌になりゃすく、それに伴って「かゆみ」も発生してくるのです。
乾燥肌だと、どうしてかゆくなるの?
乾燥肌は、いわば角質層が壊れてしまった状態です。
そのバリア機能は失せ、外部からは刺激となる物質が容易に侵入してきます。
この非常事態に、私たちの身体は、自己防衛機能を発動するのです。
「かゆみ受容体」と呼ばれる、かゆみを感じる神経は、本来は肌の内部の真皮という部分にあります。
それが、角質層という防御壁に異常が生じると、外敵の侵入をいち早くキ ャッチしようと、表皮にまでアンテ ナを伸ばしてきます。
すると、ちょっとした刺激でもかゆみを感じやすくなったり、またかゆみを強く感じたりするようになるのです。
これが乾燥肌=かゆみのメカニズムです。
さらにこの神経は、温められると感度を増すという特性をもっているため、お風呂上がりや布団の中などで、かゆみが強くなるのです。
かゆみ対策は、どうしたらいいの?
ポイントは2つあります。
角質層のバリア機能を再構築するためのスキンケアと、日常生活で肌を傷めない工夫をすることです。
以下のような注意事項に留意し、今年の冬は、乾燥肌によるかゆみをシャット・アウトしましょう。
入浴法…乾燥肌を引き起こす原因ナンバー1
- 40C以下のぬるめの湯に入る。長湯も禁物。
- ゴシゴシ洗いは肌を傷める。タオルを使わず、洗浄剤をよく泡立て、素手で洗うのがベスト。
- 洗浄剤は、刺激の少ない弱酸性のものを。充分に洗い流すことも大切。
- 入浴剤の使用は効果的な保湿作用のあるものを。
アキンケア…足りないものは補う
- 入浴、水仕事などで濡れた肌は、素早く、タオルで優しく抑えるように、水分をふきとる。
- その後は、尿素やセラミドが配合された保湿剤(軟膏やクリーム。市販品でOK)を充分に塗る。
暖房…空気や肌の乾燥をもたらす
- 暖房器具は、高温での長時間使用を避ける。
- 加湿器などを併用し、湿度を5O~6O%に保つ。
- 電気毛布やあんかは、寝る前にスイッチ・オフ。
肌着…かゆみを起こす刺激になる
- 天然素材で吸湿性のよい、綿や絹製を選ぶ。
- 肌を締めつけない、ゆったりしたものを着る。
- ウールや、ナイロンなどの化繊は避ける。
食事…肌の健康に必要な栄養を取ろう
- アミノ酸
牛乳、卵、納豆 - 亜鉛
力キ、ホタテ レバー - ビタミンC
イチゴ、みかん、緑黄色野菜 - コンドロイチン硫酸
タコ、イ力 鶏や豚の軟骨
充分な睡眠、ストレス解消…肌は体調の鏡
- 肌の新陳代謝を活発にする成長ホルモンは、睡眠中に多く分泌される。
- ストレスは、ステロイドホルモンの分泌を促し、皮膚の代謝を低下させてしまう。
出典:うちの薬箱