若者にジワジワと増加中の生活習慣病
痛風・高尿酸血症の人の簡単”良”法
痛風は、血液中の「尿酸」が増えすぎて結晶化し、起こるもの。
高尿酸血症といわれている人は、その痛風の予備群です。
痛風発作や合併症がない高尿酸血症の人は薬を使わずに、生活改善だけで尿酸値をコントロールすることが可能です。
これらに該当する人は、「プリン体」を避けるべきといわれますが、果たして「尿酸」「プリン体」とは?そして尿酸値を上げない食事のポイントは?
老廃物「尿酸」、その原料「プリン体」
痛風を引き起こす高尿酸血症は、血液中の尿酸の量が多すぎる状態です。
尿酸は、私たちの体内でつねに行なわれている新陳代謝によって、産生されます。
また、運動する時のエネルギーを生みだす際にも、副産物として作られます。
つまり尿酸は、代謝によってできた老廃物の一種なのです。
私たちの身体を形成する細胞のーつひとつには、遺伝子が組みこまれていて、それを構成するのはプリン体という物質です。
新陳代謝によって古い細胞が分解されると、プリン体も分解され、このとき尿酸ができます。
プリン体は、尿酸の原料となるのです。
そして、プリン体を体内にもっている生物は人間だけではありません。
したがって、多くの食べ物にプリン体が含まれています。
尿酸値が高い人は、プリン体が多い食品を控えるようにいわれていますが、実は食べ物からとるプリン体からできる尿酸は、体内の尿酸の量の2割程度です。
ですから、プリン体だけを控えることにとらわれず、今回とりあげた項目すべてが、尿酸値を下げるポイントだと考えてください。
尿をアルカリ性にする!
体内のpHはほぼ一定に保たれていますが、尿のpH は食べ物によって変わります。
尿酸が多い尿は酸性になりがちなので、尿がアルカリ性に傾くと尿酸が溶けやすくなり、排泄されやすくなります。
尿がアルカリ性になる食品は、野菜や海藻です。
これらはローカロリー食品でもあるので、エネルギー制限をするうえでも役にたちます。
野菜や海藻を積極的に食べましょう。
水分を十分にとる!
尿酸は、尿や便に混じって排泄されます。
水分をたくさん摂り、尿の量が増えれば、尿酸が排泄されやすくなります。
理想は1 日2 リットルの水を飲むことですが、無理はしないでください。
またその際は、水か、カロリーのないお茶を飲むようにしましょう。
ただし、心臓や腎臓に疾患がある人は、水分摂取量 に注意が必要ですから、主治医の指示を守りましょう。
ビール以外のお酒ならいい?
アルコールのなかでもビールについては、原料である麦芽にプリン体が多く含まれるため、とくに控えるべきとされています。
しかし、ビール以外のお酒ならいい、という意味ではありません。
アルコール類はすべて、体内で分解される過程で尿酸を産生します。
また、アルコールは高カロリーですから、摂取エネルギー量を増やすことにもなります。
つまり、尿酸を減 らすには、アルコールの摂取量そのものを減らすことが必要なのです。
「プリン体」を避ければいい?
痛風の患者さんは、肥満傾向にある場合が多くなっています。
肥満は尿酸を排泄する機能を弱めるため、肥満を解消することで尿酸値が下がる例も少なくありません。
また、脂肪は尿酸の排泄を阻害するので、エネルギー量を減らすだけでなく尿酸値を下げる意味でも、脂肪の摂取量を減らすことは重要です。
肥満の人は、まずは食事全体の総カロリーを減らすことを優先しましょう。
若者の食生活が危ない!
痛風の患者さんに多い食生活は、大量飲酒、肉中心で野菜をほとんど食べない食事、ファーストフードや加工食 品中心の食事、などです。
この傾向は、一人暮らしの若者などの食生活にも、よくみられます。
実際に、かつては中高年に多かった痛風が、現代では20代、30代の若い世代で増えています。
プリン体はほとんどの食品に含まれるため、それらを制限するよりも、むしろいろいろな食べ物をまんべんなく、バランスよく食べるほうが重要です。
ストレスも少なくすみ、尿酸値を下げる効果もあります。
野菜中心の、偏りのない食事内容を心がけましょう。
お役立ちレシピ(分量はすべて2人分)
にらの山かけ
一人あたり43cal
塩分0.9g
- にら100gを熱湯でゆで、冷水にとって水気を絞り、3cm長さに切る。
- 長芋80gをみじん切りにする。
- 器ににらを盛り、出し汁大さじ1¹/₂しょうゆ小さじ2を混ぜてかける。長芋をのせ、削り節少々をのせる。
にらや長芋には利尿作用があるカリウムが豊富です。
削り節はプリン体が多いので痛風の人はなるべく使わないこと。
里芋と豚肉のキムチ煮
一人あたり185kcal
塩分1.8g
- 里芋200gは皮をむいて塩でもみ、さっと水洗いする。
- 白菜キムチ100gをざく切りにし、キムチの汁はとっておく。豚薄切り肉100gは3cm幅に、万能ねぎ1本は3cm長さの斜め切りにする。
- 鍋に出し汁1カップと里芋を入れて煮立て、アクを取りながら10~15分煮る。
- ③に豚肉、砂糖大さじ1、みそ大さじ¹/₂、キムチを汁ごと加え、さらに10~15分煮込んで、器に盛ってから万能ねぎをちらす。
カリウムの多い里芋を使ったボリュームのあるおかず。煮物の煮汁は、残っても飲まないようにしましょう。
豚しゃぶの温サラダ
一人あたり202kcal
塩分1.6g
- キャベツ120gを2cm幅のざく切りにし、にんじん¹/₂本は、皮むき器でリボン状に薄く切る。
- ボウルに、ねぎのみじん切り小さじ1、しょうが・にんにくのみじん切りと砂糖を各¹/₄、すりごま(白)、酢を各小さじ2、しょうゆ大さじ1、豆板醤小さじ¹/₃を混ぜ、たれを作る。
- 鍋にたっぷりの湯を沸騰させ、大さじ1の酒を加えてキャベツとにんじんをゆで、ざるに上げる。続けて豚肉をゆで、色が変わったらざるに上げる。
- 豚肉と野菜を器に盛り、②をかける。
プリン体は水に溶けだすので、肉類はしゃぶしゃぶにするのがベターです。
ただし、ゆで汁やスープは飲まないように。
出典:うちの薬箱