最近、髪の毛が心配な諸兄へ~ストップ!AGA

髪の毛が薄くなるのでは…という不安は、男性なら誰もが一度は考えることでしよう。

事実、2O~50歳代の成人男性のうち、薄毛に悩んでいる人は、1,200万人を超えるといわれます。

そして、その大部分はAGA(男性型脱毛症)、いわぱ男性であるがゆえの薄毛・抜け毛なのです。

CMでは耳にするものの、詳しくは知らなかったあなた!髪と長い友達でいるためにAGAへの理解を深めましょう。

AGAはなぜ起こり、なぜ髪が抜けていくのか

私たちの毛髪には寿命があって、伸びては抜け、また生えてくるという周期(ヘアサイクル)をくり返すことで、一定の量を保っています。

具体的には、図1のように、

成長期…
新しい毛髪が作られ、2~6年かけて、太く長く成長していく
退行期…
髪が成長を止め、約2~3週間、抜けるための準備期間に入る
休止期…
髪が完全に退化し、ちょっとした刺激で抜けてしまう状態。

次の成長期まで、3~4か月継続するという3つの時期で、1回の周期と なっています。

ところがAGA の場合には、このうちの成長期が、数か月~1年と、通常よりも大変短くなってしまうため、髪の毛が充分に成長できません(図1)。

その結果、細く短い毛髪が多くなって、全体に薄毛が目立つようになります。

また、髪の毛の質も弱々しくて抜けやすく、やがては毛 根が徐々に小さくなって、最終的には発毛しなくなってしまうのです。

では、AGAはなぜ起こるのでしょうか。その発症には、男性ホルモン遺伝的な要因が、深く関与しているといわれています。

髪の毛は、毛根内にある毛乳頭が、毛母細胞に発毛促進のシグナルを送り、髪の元となるたんぱく質を作りだすことで、成長しています。

その発育を阻害してしまうのが、男性ホルモンの1種、ジヒドロテストステロン(DHT)という物質です。

このDHTは、発毛抑制のシグナルを出す物質で、すべての男性の体 内で作りだされていますが、通常はヘアサイクルに影響を及ぽすことはありません。

しかしながら、例えば家族や親戚にAGAの人がいて、遺伝的な要因をもっている場合には、通常よりもDHTの作用が強められてしまうケースが多くなります。

その結果、強力な発毛抑制シグナルが出て、成長期が短くなり、髪の毛が充分に育たなくなってしまうのです(図2)。

AGAの特徴として、額の生えぎわから後退するM型と、頭頂部で脱毛が進む0型がありますが、これらの部位は、とくにDHTの影響を受けやすいといわれています。

またAGAは進行性なので、放置すれば、徐々に毛髪は減り続けていきます。

何とかしたいAGA、その対策とは?

AGAは『治療が必要な病気』ではありませんが、心理面への影響は決して小さくないでしょう。

現在では「飲む薬」も登場し、症状改善の選択肢が広がってきています。

フイナステリド(商品名:プロペ シア)

AGAの元凶である、DHTの発生を防ぐ内服薬です。

ヘアサイクルを正常に戻して、発毛を促進し、脱毛の進行を抑えます。

服用は1日1回で済みますが、効 きめが現われるまでには、一般に6 か月程度飲み続けることが必要です。

ただし効果のほどは、人によって異なります。

服用を中止すれば、元のように症状は進行するため、効 果を持続させるには、長期間服用しなければなりません。

なお、フィナステリドの使用には、医師の処方せんが必要です。

必ず皮膚科や形成外科、AGA外来などで、医師の診察を受けるようにしてくだ さい。

また、健康保険は適用されませんので、診療費と薬代は全額 自己負担となります。

ミノキシジル(商品名:リアッ プ)

毛乳頭と毛母細胞の働きを活発にし、さらに頭皮の血行を良くする効果もある、外用育毛剤です。

市販もされています。

1日数回、頭皮に塗って使うタイプが一般的ですが、数か月は使い続けることが必要です。

フィナステリドと併用すれば、さらに効果的だといわれています。

ただし、低血圧の人、高血圧の人、心臓や腎臓に持病がある人は、医師 に相談してから使用してください。

また、こうした薬剤の治療と同時に、しっかりとヘアケアを心がけることも、重要なAGA対策です。

とくに大切なのは、頭皮を清潔に保つこと。

洗髪すると抜け毛が増えると心配して洗わない人もいますが、それは逆効果です。

1~2日に1回は、髪や頭皮に優しい方法で、シャンプーするようにしましょう(図3)。

洗いすぎも頭皮を傷める原因となりますので、ご注意を。

また、頭皮を刺激するマッサージ も、毎日の習慣にしたいものです。

自分が気持ちよいと感じる程度の強さで、指の腹を使って行ないます(図4)。

抜け毛が起こりやすい生えぎわも、ぜひお忘れなく。

出典:うちの薬箱