あせらずゆっくり治療しましょう
うつ病治療の基本は、薬物療法と充分な休息をとることにあります。
まず、うつ病は病気であることを自覚し、早期に専門的な治療を受けることが大切です。
治療は主として抗うつ薬が用いられます。
うつ病は『心の病気』といわれますが、生理学的には、脳の神経機能が変調をきたすことで発症します。
その改善に、抗うつ薬が効果を現わすのです。
近年は、効きめが優れ、副作用も少ない抗うつ薬が開発されていますので、安心して服用するようにしましょう。
ただ、抗うつ薬について理解しておかなければならないのは、しばらく飲み続けることで効果が現われるということと、再発予防のため、原則として病状が安定しても服用を続ける必要があるという点です。
くれぐれも自己判断で量を減らしたり服用を中止したりせず、 医師の指示に従って、飲み続けることが必要です。
それと同時に、仕事、家事などストレスとなる事柄から解放された状態で、ゆったりと心と身体の疲れを癒すことも重要です。
うつ病は「良くなったり悪くなったり」を繰り返しながら、徐々に回復していきます。
人生の特別休暇をもらったつもりで、あせらず気長に、治療に取り組むようにしましょう。
家族や周囲の人ができること
うつ病の治療には、家族や周囲の人々のサポートがたいへん重要です。
うつ病についての正しい知識と理解をもって、温かい気持ちで支えることが肝要です。
下のような点に気をつけて、患者さん同様、あせらずのんびり構えて見守れば、必ず良い結果につながります。
患者さんと接する際のポイント
- 励ましは禁物、ゆっくり話を聞いてあげる
- 『頑張りたくても頑張れない』のがうつ病です。
励ましの言葉はよけいに患者さんを追いつめます。
- 『頑張りたくても頑張れない』のがうつ病です。
- 外出や運動を無理にすすめない
- 気分転換にと思っても、気力が低下している状態では、かえって負担になります。休養を第一に考えてあげましょう。
- 重要な決定は先のばしにさせる
- 判断力が鈍っていますので、退職や離婚などの決断は、回復するまで先送りにするようにします。
- 自殺には充分注意する
- うつ病の最悪のケースです。
『死を口にする』『遺書を書く』などの行動がみられたら、本人を一人にしないで、刃物やヒモなど危険物は目の届かないところへ。
できるだけ早く、専門医を受診させます。
- うつ病の最悪のケースです。
- 家事など日常生活上の負担を減らす
- とくに主婦などの場合は、家族が協力して援助するようにしましょう。
- なるべく通院に同伴し、受診には同席する
- 医師に正確な情報を伝え、また充分な説明を受けるために、可能な限り付き添うようにします。
- きちんと薬を服用するように気を配る
- 多量に服用してしまうというケースの回避も含めて、正しい薬の服用をサポートしてください。