社会不安障害(SAD)の人は特別か

SADが慢性化しないうちに

社会不安障害(SAD)は、30代や40代、それ以上でも職場での役割や責任の重さなどの強いプレッシャーがきっかけで発病することもありますが、10代の後半から20代の前半の若い世代で最も多く発症する比較的発症年齢が低い病気です。

しかし、実際に専門医の診断を受ける年代は30歳前後が中心といわれ、発病してから10年20年と、長い間苦しんだ後に受診する患者さんが多いようです。

社会不安障害(SAD)が長期間続き慢性化すると、社会状況に適応できない苦しみや身体症状、自己嫌悪などによって、うつ病やパニック障害を併発することがあります。

また、不安感や緊張感を紛らわすためにアルコールに依存する場合もあり、その他様々な精神疾患を合併しやすい病気です。

では、社会不安障害(SAD)は特別な人だけがなる病気なのでしょうか?

社会不安障害(SAD)になりやすい性格についての調査や統計学的なデータは、まだありません。

傾向としては、多少は神経質で内向的、心配性や完全主義などが多いようですが、逆に社交的な人や目立ちたがりな人にも多く発症しています。

最近の調査では、なんと10人に1人のが生涯に一度は社会不安障害(SAD)を経験するようだとわかってきました。

また、近年問題視されていますが、仕事をしたくても就職できない、いわゆる『ニート』と呼ばれる若者や『引きこもり』になる人が増えており、こうした人々の中に社会不安障害(SAD)のような症状に苦しむ人が少なくないようです。

社会不安障害(SAD)は、特別な人がなる特別な病気ではなく、ごく身近な病気なのです。