社会不安障害(SAD)のメカニズム

社会不安障害(SAD)の原因については現在でもまだ解明できていませんが、その発症のメカニズムについては解明されてきました。

脳内の神経細胞が情報を伝え合うために分泌する、数十種類の神経伝達物質のうち「セロトニン」とよばれる神経伝達物質が関係していると考えられ、セロトニンの量のバランスがくずれると社会不安障害(SAD)の発症につながることがわかってきました。

そこで、神経伝達物質セロトニンが神経細胞に再度取りこまれる(下の図)のを阻害するSSRIという薬が有効であることがわかり、社会不安障害(SAD)の治療で現在多く使用されています。

また、症状によっては抗うつ薬や抗不安薬も用いられます。

神経伝達物質とSSRIの役割

SSRIの役割

社会不安障害(SAD)の心理療法

これらの心理療法には、薬物療法にあるような副作用はありませんが、患者さん自身が不安や恐怖にあえて飛びこんでいくぐらいの高いモチベーションがときには必要になります。

あせらず時間をかけて

社会不安障害(SAD)も含めた不安障害全般にいえることですが、恐れている状況を回避しているだけでは治りません。

現在では不安を和らげる有効な薬も多くありますので、これらの薬を上手く利用しながら、あせらずにじっくりと時間をかけて取り組む姿勢が大切です。

特に社会不安障害(SAD)の人は「自分は弱い人間だ」と劣等感を持つことが多く、周りの人にもそう感じられてしまいます。

しかし、元々、より良い人生にしたい、人と良い関係を築きたい、というような欲求が強い人が実は社会不安障害(SAD)なりやすいのです。

劣等感など持つことなく、自分自身を認め自信をもって立ち向かってほしいものです。