ストレス社会に忍びよる・・・【現代型うつ病】

現代型うつ病

最近、比較的若い20~30代の勤労者に多くみられる、現代型うつ病と呼ばれるうつ病がクローズアップされるようになりました。

特徴として、自分ではなく他人を責めるような、自己中心的な性格が見受けられます。

典型的なうつ病とは異なる多彩な症状を示すため、診断が容易でなく、治療法の選択についても、明確に定まっていません。

その現代型うつ病についてみていきましょう。

現代型うつ病とは

精神科や心療内科が扱うおもな心の病は、下の表に示したものです。

精神科や心療内科が扱うおもな心の病

統合失調症 幻聴・幻覚、妄想など独特な症状を呈し、本人には病識がない。
話にまとまりがなく、病気が進行すると著しく社会適応能力が損なわれる場合もある。 早期の薬物療法により、症状の抑制が可能。
気分障害 憂うつあるいは、そう状態を中心としたもの。
大うつ病、双極性うつ病、非定型うつ病、気分変調症など。
不安障害神経症 パニック障害、全般性不安障害(GAD)、社会不安障害、高所・閉所など特定の恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など。
急性不安と慢性不安がある。
身体表現性障害
(心身症)
検査で身体疾患が見つからないが、持続的な痛みや感覚異常などにより、社会生活に支障が生じるもの。
脳器質的障害 認知症、せん妄、健忘症障害など。
適応障害 強いストレスが原因で起こるさまざまな精神症状によって、生活が送りにくい状態。
他の精神疾患に該当しない程度に症状が軽く、原因から1ヶ月以内に症状が起こり、原因消失から6ヶ月以内に治るもの。
パーソナリティ障害 妄想性、反社会性、境界性、自己愛性、依存症、強迫性パーソナリティ障害など。

最近用いられることが多くなった診断基準として、米国精神医学会のDSM(精神障害の診断と統計の手引き)と、WHOによる国際疾病分類ICD(疾病及び関連保険問題の国際統計分類)が挙げられます。

DSMではパーソナリティ診断をはじめ、5つの軸で評価を行なうため、同時に複数の病態を認めることになります。

これは、従来の伝統的な精神医療の考えとは異なり、1人の人間を複数の視点でとらえるため、他の疾患との識別がしにくいという欠点もありますが、客観的で分かりやすいという特長があります。

DSMが採用されたことにより、うつ病の定義が拡大し、統計上の患者数が増加してきました。

実際には、これまでうつ病の基準に当てはまらなかった人や、別の病気に分類されていた人が、うつ病の仲間入りをしたという面もありますが、心の病は時代や世相に影響されやすく、病状そのものにも、「今どき」を反映する変化が起こっているのが現状です。

現代型うつ病

海外の調査では、一般的なうつ病が発症する平均年齢が32.3歳であるのに対し、現代型うつ病は、平均16.8歳とたいへん低くなっています。

若い世代は裕福な環境で育った人が多く、耐えることになれておらず、少しのストレスでも強く受け止めてしまうのが一因のようです。

最近では、「非定型うつ病」「気分変調症」「逃避性抑うつ」「未熟型うつ病」「ディスチミア親和型うつ病」と呼ばれる症状の患者さんが増え、総称して現代型うつ病と呼んでいます。

現代型うつ病になった時は

現代型うつ病の治療方法

現代型うつ病の治療方法

一般的なうつ病と同様に、抗うつ薬を使用します。

同時に、気分を安定させるための気分安定薬、抗不安薬、必要に応じて、睡眠薬などを併用します。

抗うつ薬で効果があがらない場合、別の薬が使われることもあります。

また精神療法として、生活のリズムを整えるための生活指導や、考え方を変えていく、認知療法を行なうことが多いようです。

ストレスコーピング

ストレスは、だれにでもあるものです。気づかないフリをして無理をするよりも、その存在を認めて発散することが大切です。

ストレス要因を書きだすことで認め、自分自身がそれをストレスと認識していることを受け入れましょう。

その次にコーピングとして、意識的に行なう対処法を書きだします。

内容としては、読書やスポーツなどの具体的な趣味や、甘いものを食べるなど、何でもOKです。

1つでも多くの、心地よいと思えることを見つけることが、大切になります。