五十肩の治療方

「五十肩は自然に治る」と考えている方もいるようですが、放置しておくと、痛みは和らいでも、肩が元どおりに動かなくなることがあります。

また、他の病気との鑑別も必要です。

そうした意味からも、医師の専門的な診断や指導は欠かすことができません。

肩の痛みが起こったら、早めに整形外科を受診しましょう。

五十肩を発症してから完治するまでの経過には、下の<五十肩がたどる経過と対処法>のような3段階があり、それぞれに応じて対処法も異なってきます。

治療は、鎮痛消炎剤、湿布、体操、ストレッチング、肩の固定、あるいは局所にステロイドと局所麻酔剤を混ぜたものを注射するなどを行ないます。

特に重要となるのは、痛みが引いてからの運動療法です。

<五十肩がたどる経過と対処法>の表の次に<五十肩を改善する運動>を示しておきます。

医師と相談しながら、決して無理をせず、一つひとつの動作をゆっくりと、毎日根気よく続けることが大切です。

五十肩がたどる経過と対処法

急性期
約2週間
  • 激しい痛みを感じるので、なるべく肩を動かさず、冷湿布などで冷やす。
  • 痛みを和らげるために、消炎鎮痛剤(飲み薬や塗り薬など)が処方されたり、局所麻酔薬などを肩に注射することもある。
慢性期
約2~4か月
  • 肩を動かさなければ痛まなくなるが、この時期から運動制限が進行し始める。
  • できるだけ肩を温めるようにし、痛まない範囲で、少しずつ動かすようにする。無理をするとかえって肩を痛める。
回復期
約3~6か月
  • 痛みはなくなるが、そのまま放置すると、肩の関節が硬くなり、運動制限がすすむ。
  • 運動療法で積極的に肩を動かしリハビリに取り組む。肩の保温にも努めよう。時間はかかるが、継続することが重要。

五十肩を改善する運動

  • 説明の便宜上、右肩が痛むケースとし、イラスト中には●で示します。
  • 運動は医師とよく相談して行ないましょう。
腕を振る運動1

腕を振る運動2
<腕を振る運動>

  • 机などに左腕をついて前かがみになり、右手でアイロンを持って、ゆっくり前後に振る
  • 同じ要領で左右にも振る
  • 慣れてきたら、徐々に回数を増やす
壁づたい運動
<壁づたい運動>

  • 壁の横に立つ
  • 身体は動かさず、右手の人差し指と中指を壁にはわせるようにして、少しずつ腕を上げていく
  • 同様に、壁を正面にして行なう方法もある
腕を広げる運動
<腕を広げる運動>

  • 両腕を身体のわきにつけ、ひじを前に直角に曲げる
  • その姿勢から、両腕を外側へ少しずつ開いていく
腕を上下させる運動
<腕を上下させる運動>

  • 両腕をできるだけ肩の高さに上げ、ひじを曲げて、上下させる
  • 仰向けに寝た姿勢で行なってもよい
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<タオルを使った運動>

  • タオルを背中に回して、左手に力を入れて上下させる
  • 右手はタオルに添える程度で、力は入れない