漢方医学(中医学)からみた月経前症候群(PMS)

基本的に月経前症候群(PMS)というのは、衝脈(五臓六腑の内の肝の働き、つまり疏泄)の亢進により、肝に影響がおよび、肝陽が高ぶることによって発症します。

生理が始まる前からの一連の症状であり、精神の抑鬱または怒りっぽい、情緒不安定、不眠傾向、胸脇苦満、乳房脹痛、 頭痛、頭がボーッとする、口舌のびらん、食欲増進、便秘、下痢、腹脹、発熱、鼻出血、むくみ、などがみられます。

これらは、生理の始まる1~2週間前から現われるもので、生理2~3日前に最も著しくなりますが、通常は生理が始まると消失します。

よくみられる症状は、次のように分類できます。

月経前症候群(PMS)でよくみられる症状の分類

ここでは、月経前症候群(PMS)を根本から改善するタイプ別原因療法を解説いたします。

少し専門的になりますが、漢方医学(中医学)の角度からは、以下のように分類することができます。

詳しくは、漢方百草園薬局までお問い合わせ下さい。


冠脈通塞丸冠心逐瘀丹

杞菊地黄丸婦宝当帰膠瀉火利湿顆粒

月経前症候群(PMS)のタイプ別漢方療法

タイプ 月経前症候群(PMS)の症状ほか 代表的な漢方薬
Aタイプ
肝郁気滞証
精神的ストレスにより気機不利となる、さらに経脈の循行障害を起こし脹痛が出現する。月経紊乱(みだれる)、月経周期が早かったり遅れたり、月経量が多いあるいは少ない、月経色は紫紅色で小血塊が混じる、月経前後に胸が悶々とし(苦満)煩躁(精神的抑鬱)、煩躁して怒りっぽい、乳房脹痛、小腹(下腹中央)の脹痛、心身の疲労感、などの症状がよくみられる、
舌質偏紅、舌苔黄白微膩、脈細渋…
逍遥散加減方
青皮、丹参、牛膝、益母草、釣藤鈎、白蒺藜、甘菊花、遠志、合歓皮、穀芽、麦芽、路路通などを加減
逍遥散合香蘇散、血府逐瘀湯(=冠脈通塞丸)、冠心逐瘀丹、瀉火利湿顆粒
Bタイプ
血虚肝旺証
平素から腎気虚あるいは房事過多のために精血が損なわれて腎陰が不足する。月経周期が短い、月経量は多いあるいは少ない、月経色は紅色で小血塊が混じる、月経前にめまい感や頭痛、煩躁(精神的抑鬱)して不眠傾向、乳頭が痛む、腰が重だるく痛む、あるいは月経開始後にめまい感や耳鳴り、目の疲れや心がざわざわする、イライラ、怒りっぽい、などの症状がよくみられる、
舌質紅で裂紋、舌苔黄燥、脈弦細数…
杞菊地黄湯加減方、
釣藤鈎、牛膝、桑椹子、桑寄生、白蒺藜、黄連、蓮子心、夜交藤、木香、砂仁、白朮、陳皮、郁金、合歓皮などを加減
杞菊地黄丸、加味四物湯、加味逍遥散、婦宝当帰膠、瀉火利湿顆粒
Cタイプ
脾腎両虚証
普段から脾胃虚弱であるか、飲食の不摂生や過労から脾気を損傷し、脾の運化機能が失調して水湿が停滞する。経周期は大多数が遅れがち、月経量は多いあるいは少ない、月経色は淡紅で血塊は少ない、月経前後にむくみ、脘腹脹満、軟便下痢傾向、体がだるく疲労倦怠感、腰膝に力が入らず軟弱、精神無力、胸が悶々とし(苦満)煩躁(精神的抑鬱)、あるいは乳脹、などの症状がよくみられる、
舌苔白膩、脈細弱…
温土毓麟湯加減方、丹参、益母草、黄耆、赤石脂、五霊脂、蒲黄、三七粉、杜仲、鹿角霜、郁金、合歓皮、遠志、釣藤鈎、牡丹皮、などを加減
参苓白朮散、呉茱萸湯、扶陽理中、海馬補腎丸、参馬補腎丸