月経前症候群(PMS)の治療方法

西洋医学での月経前症候群(PMS)の治療は、支障をきたしている症状を症状を緩和するだけの対症療法となります。

漢方医学(中医学)では、根本治療を目指していますが、西洋医学の領域では月経前症候群(PMS)そのものを起こらないように根本治療することは、残念ながらできません。

ただ、西洋医学の対処療法も頭痛に悩む人には鎮痛剤、むくみがひどい人には利尿剤、うつ症状の人には向精神薬を処方するなどの薬物療法が一定の効果を上げています。

漢方薬の効果が高いケースも多く、またビタミンB6などのビタミン剤や、経口避妊薬が利く場合もあり、個々の症状に合った治療法はあるものですので、あきらめずに婦人科などの専門医を受診してみましょう。

月経前症候群(PMS)のセルフケア

前記のように、残念ながら今のところ月経前症候群(PMS)の根本的な治療方法はありませんが、日常生活でのセルフケアで、辛い症状を大幅に軽減できるのです。

そのセルフケアのためには、まず基礎体温を測ることを習慣にしてください。

月経前症候群(PMS)が起こりやすい黄体期には基礎体温が上がり、10日前後で月経が始まります。

基礎体温を2ヶ月ほど記録して、一覧表を、ひと月ごとの折れ線グラフにし、体調の変化を感じた日には、その内容もグラフに書きこんでください。

そうしますと、まず自分の月経周期がわかり、いつどんな症状が出ているかが把握できます。

基礎体温が上がり月経が始まるまでの期間に、情緒不安定になったり体調がくずれるようであれば月経前症候群(PMS)であることが予測できます。

月経周期の例

月経周期の例

正しい基礎体温の測り方

基礎体温測定

基礎体温の変化は、0.3~0.5度とわずかなので、これから体温計を購入する予定があれば、婦人体温計をおすすめします。

月経前症候群(PMS)を知る

月経前症候群(PMS)を知る

このように、基礎体温を記録することで、生理前にたびたび起こる体調不良が月経前症候群(PMS)だと原因がはっきりしたことで症状まで軽くなったり、また体調不良になる時期を予測できることで心の準備ができ、精神的に楽になるという例も少なくありません。

さらに、婦人科などを受診する場合も基礎体温表がとても参考になりますし、仕事や日常生活のペースを調整することにも役立ちますので、月経前症候群(PMS)について正確な知識と情報をもつことは、治療の一環でもあるのです。

その他のセルフケア

基礎体温を記録するほかに、日常生活でできる月経前症候群(PMS)に対するセルフケアは色々あります。

あまり構えずに、日常の心がけとして参考にしてください。

黄体期になったら心がけてみましょう

  • カフェイン(コーヒーなど)は控える
  • ミルクと納豆

    カルシウム、マグネシウムを意識的に摂る

  • 充分な睡眠

    充分な睡眠をとる

  • バナナと魚

    ビタミンB6を意識的に摂取する
    (ビタミンB6の大量摂取は有害になることがあります。できるだけ食品から摂取しましょう。)

  • むくみが目立つ人は塩分を控える
  • アロマテラピー

    アロマテラピーなどでリラックスする時間を作る

  • 生理に対してネガティブに考えない
  • 家族に話す

    「この時期はイライラしやすいけど気にしないで!」などと家族に言っておく

  • 半身浴

    下腹部痛、頭痛、腰痛、関節痛などには、足浴、半身浴で血行を促す

  • 「この時期は仕方がない」と割り切る
  • 運動

    黄体期に限らず、普段から少しでも運動をする

月経前症候群(PMS)の受診について

月経前症候群(PMS)とわかった場合、婦人科などを受診するかどうかは、患者さん自身が症状や辛さなどで判断することですが、月経前症候群(PMS)は家族や職場など周りの人にも影響を及ぼしていることを忘れてはいけません。

家庭内での何でもない衝突や職場での仕事が滞ったりして、人間関係でトラブルが起こることが、さらなるストレスとなって、月経前症候群(PMS)の症状を悪化させる場合もありますので、我慢せず婦人科などの専門医を受診することをおすすめします。

セルフケアで少しでも楽に

一般的に、ほとんどの女性が黄体期の身体の変化は感じるものですが、辛い症状が毎月起こるのは何ともわずらわしいものです。

その症状に合わせた薬が処方されることもありますが、薬の服用に抵抗があるなら、まずは前記のような日常生活でできることを実践してみて、少しでも楽にこの期間を乗り切りましょう。

ただし、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、パニック障害など他の病気と診断されているケースでは、月経前症候群(PMS)によってそれらの病気の症状まで悪化する場合がありますので、持病が生理前になると悪化してくるという人は、早めに受診することをおすすめします。