C型肝炎検査の必要性
現在、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染している人は、医療現場で感染症予防策が適切になされていなかった時代に、予防接種での注射針の使い回しや輸血などが原因で血液感染した人がほとんどです。
しかし現在では、注射器の使い捨てや輸血血液のスクリーニング(感染症ウイルスの有無の検査)が励行されるようになり、昔のような感染経路で感染することは、ほとんどなくなっています。
ただ、現在でもピアスの穴開けや入れ墨やに用いられる道具、覚醒剤など使われる注射器などからの感染は危惧されています。
また、C型肝炎ウイルス(HCV)は、食器などの共用による口腔感染、咳やくしゃみなどによる空気感染をすることはなく、日ごろの生活での感染の心配はまずありません。
厚生労働省では、特に以下のような項目に該当する人に対して、C型肝炎ウイルス検査を受けるようにすすめています。
また、一度もC型肝炎ウイルスの検査を受けたことがない人で、特に40歳以上の人は、ぜひ一度検査を受けることをおすすめします。
厚生労働省が肝炎ウイルス検査をすすめるケース
- 1992(平成4)年以前に輸血を受けた人
- 以前、大きな手術を受けた人
- 長期に血液透析を受けている人
- 輸入非加熱血液凝固因子製剤を投与された人
- フィブリノゲン製剤(フィブリン糊としての使用を含む)を投与された人
- 臓器移植を受けた人
- 薬物乱用者
- 入れ墨をしている人
- ボディピアスを施している人
- 過去に健康診断などで肝機能検査の異常を指摘されたにもかかわらず、その後、肝炎の検査を実施していない人
- 集団予防接種を受けたことのある40歳以上の人
など
C型肝炎ウイルスへの感染は血液検査によってわかりますが、定期的な特定検診と併せて実施する場合もあり、また住んでいる市町村の保健所や医療機関などでも受けることができます。
C型肝炎ウイルス検査の具体的な内容は、以下ように行なわれます。
C型肝炎ウイルス検査の内容
C型肝炎ウイルス(HCV)抗体検査
C型肝炎ウイルス(HCV)に感染すると、免疫システムによってHCV抗体が血液中につくられますので、血液中のHCV抗体の有無を調べます。
そして、HCV抗体が「陽性」であれば「感染の可能性がある」と捉え、HCV抗体が「陰性」であれば「感染していない」と判断します。
また、HCV抗体の量が少ない場合は、以前にC型肝炎ウイルス(HCV)に感染したが自然治癒した可能性があり、HCV抗体の量が多い場合は、現在も感染が続いているという判断になり、HCV抗体の量が中程度の場合は、この検査だけでは判定不能のため、別の検査を行ないます。
C型肝炎ウイルス遺伝子(HCV・RNA)検査
C型肝炎ウイルス遺伝子(HCV・RNA)検査とは、C型肝炎ウイルスの有無を調べる検査で、この検査でも陽性となれば、C型肝炎ウイルスに感染していると判断します。
同時に、C型肝炎ウイルスの量や遺伝子の型なども調べられ、治療方針を決める材料となります。
肝機能検査
肝機能を検査するために肝臓に含まれる酵素であるGOT(AST)やGPT(ALT)の血液中の数値を調べます。
肝細胞が破壊されるとGOT(AST)やGPT(ALT)は血液中に流れだすため数値が高くなり、数値が異常値であればC型慢性肝炎と診断され、治療が選択されます。